北米における(非)遺伝子組換え農産物の生産流通動向の解明

タイトル 北米における(非)遺伝子組換え農産物の生産流通動向の解明
担当機関 農業総合研究所
研究期間 2000~2003
研究担当者
発行年度 2000
要約 アメリカにおいては広範囲に遺伝子組換え農産物が作付けられているものの、気象条件や病害虫密度の差異から地域性が存在している。また輸出需要が増大している非遺伝子組換え農産物に関しては、情報技術の開発や流通上の工夫によって分別流通(IPハンドリング)への取り組みが積極的に進められている。
背景・ねらい 遺伝子組換え(GM)農産物の生産は、北米や南米を中心として急速に拡大している一方、EUや日本での表示義務化を契機として流通・消費動向が昨今大きく変動している。GM農産物の流通・消費動向に関しては、表示や分別管理手法、技術開発等における諸要因に応じて、各国主要農産物のフードシステムに多大な影響を与えるものと想定され、その影響に関して各国の実態を分析することが急務である。
本研究では、現地調査およびインターネット等による情報収集を通じて、特にトウモロコシと大豆を中心に、海外における組換え農産物の生産・流通・消費動向を把握すると共に、特に日本への輸出が活発化している非遺伝子組換え(Non-GM)農産物の分別流通の動向を解明した。
成果の内容・特徴 2000年8月に、GM農産物の生産流通状況に関して北米現地調査を行った。特に、日本において需要が急速に拡大しているNon-GMOに対して北米諸国がいかなる対応を取っているかに関して調査した。
  1. アメリカにおいては広範囲にわたってGM作物生産が行われているものの、その作付に関しては州毎に大きな地域差が存在する。特にトウモロコシに関しては、ミシシッピ川を境として西高東低の傾向がある(図1、図2)。これはアワノメイガの発生頻度と関連しているとされる。大豆では比較的地域差は小さいものの、降水量が少なく不耕起栽培が望ましい地域で除草剤耐性大豆の栽培が多い傾向が見られる。Non-GMOの分別流通(IPハンドリング)を進める上で、この地域差は分別の精度を左右する要因になると考えられる。
  2. 生産者段階におけるNon-GMO生産に関しては、混入を防止するための技術開発が進んでいる。特に、播種機や収穫機のクリーニングを容易にするような機械の改良、GPSやバーコードを活用した栽培品種情報の空間的管理手法が導入されつつある。
  3. Non-GMOの分別流通においては、通常の流通経路のうち、いくつかをスキップしてGMOの混入リスクを最小限にする努力が払われている。具体的には、カントリーエレベータを迂回し、生産者から直接リバー・エレベータに搬送し、受け入れた穀物をバージに積載する。さらに、バージが輸出エレベータに到着した後では、外洋船の船倉にバージから直接積み込むことで、エレベータの保管ビンでの混入を防止している(図3)。
  4. カナダでは大量のGM作物を生産・消費・輸出しているが、Non-GMOの分別流通は、日本向け大豆の一部を除きほとんど展開していない。重要なGM作物であるカノーラ(ナタネ)では、分別流通の試みは今のところ全く無い。しかし、カナダでは硬質赤色春小麦を分別流通している実績もあり、市場需要があればNon-GMカノーラの供給は十分可能であるとの声も調査では聞かれた。
成果の活用面・留意点 2000年9月に発生したGMトウモロコシ・スターリンク(アメリカにおいて飼料用としてのみ認可)の食品への混入事件以降、北米地域における生産流通および貿易を取り巻く環境が大きく変化している。本研究は、本事件発生以前の状況をまとめたものである点、留意が必要である。
図表1 228483-1.gif
図表2 228483-2.gif
カテゴリ 病害虫 あわ 害虫 くり GPS 収穫機 除草剤 飼料用作物 大豆 とうもろこし なたね 播種 品種 不耕起栽培 輸出

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