先進諸国における農村地域社会の変貌過程と国民ニーズへの対応に関する比較研究

タイトル 先進諸国における農村地域社会の変貌過程と国民ニーズへの対応に関する比較研究
担当機関 国際政策部
研究期間 2002~2004
研究担当者
発行年度 2003
背景・ねらい 今日、先進諸国においては、社会経済の成熟および農政改革の進展に伴って、農村地域社会そのものが変貌するとともに、農村地域に対する国民のイメージやニーズが多様化している。本研究では、先進諸国における農村地域社会の変貌過程を分析するとともに、農村地域に対して多様化している国民ニーズの態様、それに応じた財政負担方式の変化、並びに施策を補完する様々な民間非営利団体などの機能に関する動向を明らかにし、さらに先進諸国間の比較を通じて我が国の農村地域政策の参考に資することを目的とする。
15年度は、ドイツ連邦農業研究院(FAL)において聴取した政策評価結果に基づき、「アジェンダ2000」以降のドイツの農業環境政策および州財政支出の動向について分析した。また、2003年に加盟国の合意を得たCAP改革、直接支払い制度の変更点を分析した。
成果の内容・特徴
  1. 「アジェンダ2000」以降のドイツの農業環境政策および州財政支出の動向
    「アジェンダ2000」以降、農業環境政策は「農村地域開発」政策パッケージ、すなわちCAPの「第2の支柱」の一つに位置づけられている。「農村地域開発」には、農業環境政策の他に経営投資助成、LFA補償金も含まれ、どの措置に重点を置くかは国や地方自治体の権限に委ねられている。EU財政支援は旧西独地域では50%まで、旧東独地域では75%まで可能となっているが、ドイツでは豊かな南と貧しい北、旧東の州の間の財政支出の差が拡大する傾向にある。LFA補償金、農業環境政策、経営投資助成および若年農業者支援措置に対するEU、連邦、州の支出額合計を「アジェンダ2000」以前と以後とで比べると、南部のバイエルン州では7億マルクから10億マルク弱へと増加しているの対し、北部のニーダーザクセン州では2億マルクから1億5千万マルク、旧東独のザクセン州では2億マルクから1億3千マルクへとそれぞれ減少している。
    また、2004~2006年の「農村地域開発」予算において、EU、連邦、州の予算合計(ha当たり)、農業環境措置予算の割合、農業環境措置支出(ha当たり)を州間で比べると、表に示すように依然「南高北低」の傾向が見られる。
    ドイツの農業環境政策(2078/92プログラム)は従来、主として農薬や肥料の投入量の削減、家畜飼養密度の減少など、農地の面積単位の粗放化を進めてきた。EUの「アジェンダ2000」以降、粗放化メニューの内容は直接支払いの対象とはなり得ない「適切な農業活動」の範囲内にとどまることから見直される傾向にあるが、バイエルン州などでは逆に家畜の粗放的飼養のための「草地奨励金」導入により山間地域の経営の所得維持を図っている。
  2. 2003年CAP改革とデカップリング
    2003年6月に加盟国間の合意を得たCAP改革の骨子は、(1)農産物毎の直接支払いの一本化(単一農場支払い)と生産からの切り離し(デカップリング)、(2)クロス・コンプライアンスによる支払いの制限、すなわち環境、食品安全、動植物の健康に配慮すること、耕作放棄のない「良好な農業・環境条件」を満たすこと、(3)農村地域開発、環境、品質、動物福祉に対する予算拡充、(4) 年間直接支払い受取額のうち5,000ユーロを控除分とするモジュレーションとその農村地域開発への運用、(5)単一農場支払いに関する国別財政支出上限の設定、(6)市場政策の改変、すなわち耕種作物介入価格の維持、牛乳クオータ制度の2014年までの継続等、である。このうち(1)の単一農場支払いのデカップリングはブルー・ボックスの「グリーン化」を意図したものであり、原則として2005年までに導入される。ただし、耕作放棄を避けるという名目により、生産と結びついた支払いも部分的には認められており、その適用如何が加盟国に任される点に注意を要する。
図表1 228531-1.jpg
カテゴリ 肥料 病害虫 経営管理 農薬

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