タイトル |
ニンジンに含まれる前駆脂肪細胞の分化調節成分 |
担当機関 |
四国農業試験場 |
研究期間 |
1996~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
ニンジン抽出物は通常培地とインスリン添加培地においては前駆脂肪細胞の分化促進作用を示すが、デキサメタゾン等添加培地では分化阻害作用を示す。活性成分はβ竏茶Jロテンであり両作用を示す。他のカロテノイドも分化を促進する作用がある。
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背景・ねらい |
近年、食品の持つ健康機能性に対する関心が高まり、その有効成分の解明が進められて いる。成人病の中でも糖尿病や高脂血症は脂肪細胞の機能の不全がその原因のびとつであ ることが知られている。脂肪細胞はその前駆細胞より分化してでき、分化調節物質は脂肪 細胞の機能を調節し上記疾患にも影響を与えることが知られている。そこで、この分化に 注目し、地域農作物の検索を行ったところニンジンに活性を認めたので、活性成分を解明 することにした。
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成果の内容・特徴 |
- ニンジン抽出物の中でも疎水性の強い画分に通常培地とインスリン添加培地において
は分化促進作用を、デキサメタゾンとメチルイソブチルキサンチンとインスリン(DMI) の3種類の試薬を添加した培地では分化阻害作用を見いだした。活性を指標に有効成分を 精製したところ活性成分はβ竏茶Jロテンであった。
- β竏茶Jロテンについては既に分化阻害作用が報告されているが、この阻害作用はDM
I添加培地の条件下での現象であり、通常培地やインスリン添加培地においては分化の指 標となるグリセロール竏窒R竏茶潟梼_脱水素酵素(GPDH)活性を上昇させ、逆に分化を 促進させる(図1、2)。
- 他のカロテノイド(10μM)についても検討したところ、インスリン添加培地においてβーカロテンと同様にGPDH活性を上昇させ分化促進作用を示し、同じく分化の指標である細胞内トリアシルグリセロール(油滴)の蓄積量も増加させる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- β竏茶Jロテンに従来の報告とは異なり分化促進作用のあることがわかった。
- ビタミンAに変換しないカロテノイドにも分化調節活性があることより、分化調節作
用はビタミンAとしての作用とは異なると考えられる。
- 摂取した際の生体内での効果は検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
機能性
茶
にんじん
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