無人ヘリコプター利用による散布と手散布の労働負担の比較

タイトル 無人ヘリコプター利用による散布と手散布の労働負担の比較
担当機関 愛媛県立果樹試験場
研究期間 1999~1999
研究担当者 大政義久
大西論平
池内温
発行年度 1999
要約 急傾斜カンキツ園の防除作業における無人ヘリコプターの利用は、夏季の作業でみると、手散布に比べ作業能率が高まり、身体負担が非常に軽減された。年間の防除作業のうち、無人ヘリコプターの既登録薬剤のみ本機での散布とすることにより、手散布のみの防除に比べ作業時間、積算心拍数、移動距離が41~46%程度軽減されると推定された。
背景・ねらい
傾斜地カンキツ園におけるカンキツ病害虫に対して、無人ヘリコプターによる散布と手散布(慣行防除)の労働性の比較を行ない、無人ヘリコプター散布の省力効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 夏季に傾斜35度の宮内伊予柑園50aで、防除作業における労働負担を無人ヘリコプター(以下、無人ヘリ)と手散布で比較したところ、無人ヘリ散布の労働性は、作業時間で約1時間、歩行距離で約160mを要し、手散布に比べそれぞれ1/8、1/20に短縮された(表1)。
    このうち防除作業のみの労働性をみると、無人ヘリ散布は、作業時間が11.5分、移動距離が約38mで、手散布に比べ、それぞれ1/29、1/53に短縮された。その際の補正心拍数は、平均93.4回/分で、手散布の平均120.4回/分に比べて22.4%軽減された。また、心拍増加指数(作業時/安静時)は、無人ヘリ散布が1.33、手散布が1.72で、前者は中労働、後者は強労働に分類された(表1)。
  2. 夏季に測定した数値を用いて、手散布のみで年間防除した場合(以下、手散布区)と、無人ヘリ(現時点での既登録薬剤のみ使用)と手散布を併用して年間防除した場合(以下、無人ヘリ+手散布区)の労働負担を推定し比較した。
    無人ヘリ+手散布区の作業時間は40時間14分40秒で、手散布区67時間56分32秒に比べ、約41%時間が短縮された。また、無人ヘリ+手散布区の歩行距離は約13.8kmで、手散布区約25.6kmに比べ約46%少なくなった(表2,3)。
  3. 以上の結果から、無人ヘリ散布を利用することで、手散布に比べ作業能率が高まり身体負担が非常に軽くなった。
成果の活用面・留意点
  1. 本報では、夏季の調査値を使用して年間の労働負担を推定したが、今後気温が低い時期の労働負担を測定し検討していく必要がある。

図表1 228714-1.jpg
図表2 228714-2.jpg
図表3 228714-3.jpg
カテゴリ 病害虫 伊予柑 害虫 傾斜地 防除 薬剤 その他のかんきつ

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