タイトル |
四国地域における農家の継続可能性と作目別生産動向 |
担当機関 |
四国農業試験場 |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
関野幸二
高橋弘江
島 義史
迫田登稔
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発行年度 |
1999 |
要約 |
60歳未満の男子専従者がいる割合の高い,販売金額500万円以上の農家は今後,農業が継続される可能性が高い。これらの農家は今後の土地利用型の露地野菜,施設園芸,畜産物生産の中心を担う。しかし,小規模農家や兼業農家が担い手の穀物,集約的な露地野菜,栗・梅の果樹,茶等の生産は今後減少が予想される。
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背景・ねらい |
全国的に農家数が急激に減少している中で,今後,四国地域の農業を支えると期待できる農家層を明確にすることが重要な課題となっている。そこで,農業センサスの分析を通じてこれら農家層を明らかにする。また,四国地域における作物や家畜の生産がどのような経営によって担われているかを明らかにする。四国地域では土地利用型の作物に限らず,野菜や果樹等の集約的な園芸品目の生産や畜産も盛んに行われているため,ここでは販売金額別の分析を行う。
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成果の内容・特徴 |
- 高齢従事者のみの農家タイプ(1,2)と貸付・委託中心の農家タイプ(4)は,90~95年の5年間の離農率がどの地域でも2割以上と高い。これに対して,60歳未満男子専従者のいる農家タイプ(3)は離農率が2~4%と非常に低い。これらの離農傾向に地域差は見られない(図1)。
- 販売金額別には,販売なしと販売金額50万円未満の農家タイプが離農した農家の9割近くを占めている。これにより販売金額の多い農家の割合が相対的に高まることになるが,実際には階層間の移動があり,90年と95年の農家構成割合はほとんど変わらない。ただし,販売金額500万円以上の農家は割合でも実数でも増加している(図2)。
- 1995年における販売金額500万円以上の農家は,地域にかかわらず,60歳未満の農業労働力が6~7割以上の高い割合で確保されており,農業も比較的維持できると考えられる。これに対して,農家の約半数を占めている安定兼業農家は,家としての継続可能性は8~9割と高いが農業の継続可能性は2~3%と非常に低い(表1)。
- 1995年時点での農業継続の可能性が高い,販売金額500万円以上の農家は全体の6%に過ぎないが,土地利用型の露地野菜,施設園芸,畜産物はこれら農家の生産割合が高く5割以上を占めている。これに対して,販売金額500万円以上農家の生産割合が低い,今後生産が減少すると考えられる品目は,穀物と集約的な露地野菜,栗や梅の果樹,茶等である(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 1990年,1995年のデータをもとに分析しているため,今後データを更新して分析を深める必要がある。
- 農産物生産シェアは販売金額であるため,畜産部門は高くなりがちであることに留意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
経営管理
施設園芸
茶
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