タイトル |
ユズの凹陥性幹腐れ症の原因と対策 |
担当機関 |
高知県農業技術センター |
研究期間 |
1998~1999 |
研究担当者 |
松本宏司
森田康彰
川池直人
川田洋一
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発行年度 |
1999 |
要約 |
本症はLachnum abnorme によるユズ幹腐病(みきぐされびょう)である。病斑上に子のう盤を形成し、子のう胞子がユズの主に緑枝に感染する。3月上旬頃の病斑への有機銅塗布剤処理は子のう盤形成阻止効果が高く、5~7月の有機銅水和剤やジチアノンフロアブルの散布は、感染防止効果が高い。
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背景・ねらい |
ユズの凹陥性幹腐れ症と呼ばれる枝幹部にすり鉢または溝状の凹みを生じて腐りこむ障害は、昭和56年頃に徳島県で初めて発生が確認された。本県でも、近年、被害が目立ってきたことから、本症の原因究明と防除対策が望まれていた。
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成果の内容・特徴 |
- 本症は盤菌類の Lachnum abnormeによる病害でユズ幹腐病(みきぐされびょう)である。
- 本菌菌そうの生育適温は20~25℃で、30℃以上では生育しない。また、子のう胞子の発芽適温も20℃付近で、30℃以上ではほとんど発芽しない。
- 病斑上には5~7月上旬、9月下旬~12月上旬に径1~2mm、黄色盃状のキノコ(子のう盤)が形成される。
- 子のう盤からの子のう胞子飛散は6月中旬~7月上旬に多い(図1)。
- 本病は緑枝に感染し易いが、枝が硬化すると感染し難くなる(表1)。
- 3月上旬頃(子のう盤形成の始まる前)の有機銅塗布剤の患部への処理は、子のう盤形成阻止効果が高く(図2)、また、有機銅水和剤やジチアノンフロアブルの5~7月、2週間隔、4~5回散布は、胞子感染防止効果が高い(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- ユズの育苗圃場は周辺に発病樹のない場所を選ぶ。
- 幼木期に主枝や主幹が侵されないように防除を徹底する。
- 樹勢が弱いと罹病し易いので、過度の着果、強い誘引や強剪定、密植を避ける。
- 本病の登録薬剤はないので、枯れ込み防止剤の有機銅塗布剤患部処理による子のう盤形成防止と、有機銅水和剤やジチアノンフロアブル散布による黒点病、そうか病との同時防除で感染防止に努める。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
防除
薬剤
ゆず
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