タイトル |
トルコギキョウの寒天ブロック育苗による夏秋どり栽培 |
担当機関 |
愛媛県農業試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
角田和利
今西吉胤
中地敏文
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発行年度 |
1999 |
要約 |
トルコギキョウは、育苗用土・肥料を寒天でブロック化し、稚苗で定植すると夏秋どり栽培が可能になり、ほとんどロゼット化せずに採花でき、切り花品質も向上する。
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背景・ねらい |
トルコギキョウの夏秋どり栽培は、高単価が期待できるが育苗や定植時期が高温になり、ロゼット化や切り花品質の低下が問題となる。現在、冷房育苗や直播き栽培などが行われているが、育苗コスト・適用品種・切り花品質の面でまだ問題が残る。 そこで、直播きに近い形で移植でき、育苗管理も省力的な方法を考案した。
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成果の内容・特徴 |
- 寒天ブロックは、水1800ミリリットルに2%程度の寒天を加えて加熱した液に肥料(N-700~1000㎎/リットル用土)を添加し、1.1~1.2㎏の育苗用土と混ぜ合わせ、200穴セルトレイに流し込み固めて作る。
- 育苗用土を寒天で固めると、根鉢形成とは関係なく、稚苗で移植できる。
- 定植後の乾物重は、寒天ブロック育苗で重く、播種3カ月後は20日育苗、播種4カ月後は30日育苗で重くなる(図1)。
- 慣行育苗では栽培が困難な5月中旬播きで、寒天ブロックの30日育苗はロゼット株が全く見られず、開花も早く、切り花品質でも優れる(表1)。
- 寒天ブロックに肥料を添加すると、育苗中の追肥なしでも長期間効果が安定する。
添加する肥料は、育苗用土1リットル当たり窒素1000㎎で最も優れ、窒素量が多いほど開花が早く、ロゼット株も少なく、切り花品質でも優れる(表2)。 - 定植時に、苗の根の下半分をブロックごと切断し、再度合わせて定植すると、切り花長・節数等の切り花品質は低下するが、開花・ロゼット化には影響しない(表3)。
このことから、寒天ブロック育苗の効果は、ブロック自体がロゼット化を軽減させるとともに開花を促進し、ブロック化による植え傷みの軽減により切り花品質を向上させると考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
- 標高500m程度の中山間地では、6月中旬まで播種は可能であるが、切り花長はやや短くなる。
- 寒天濃度・育苗用土により、ブロックの硬さや肥料の効果が異なるので注意する。
- ブロックの上に薄く育苗用土を敷き播種すると、水が溜まらず根の張りも良い。
- 粉末寒天のコストは、苗1本当たり64銭(寒天濃度2%)かかる。
- ブロックを乾燥させて使う場合は、ブロック全体が吸水するまで十分に灌水する。
- 寒天ブロックは、水分をよく保持するため育苗中の灌水は少な目にし、定植前にやや乾燥気味にするとセルトレイから抜けやすい。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
育苗
乾燥
コスト
栽培技術
中山間地域
トルコギキョウ
播種
品種
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