イネとオオムギの穀粒1粒単位でのRLGSによる品種識別

タイトル イネとオオムギの穀粒1粒単位でのRLGSによる品種識別
担当機関 中国農業試験場
研究期間 1997~1999
研究担当者 富岡啓介
河瀨眞琴
石原次郎
発行年度 1999
要約 玄米の胚、胚乳、精米およびオオムギ原麦の胚の各1粒から抽出した全DNAのRLGSにより、再現性のある品種特異的な2次元スポット像が得られ、穀粒1粒単位での品種識別が行える。
キーワード 玄米、オオムギ原麦、RLGS、品種識別
背景・ねらい 穀物の販売形態が多様化し、正確な品種識別やブレンド米等の検知手段としてDNA多型検出法の適用が望まれている。そこで、イネとオオムギを材料にDNA多型を高率に検出し得るRLGS(ゲノム・スキャニング法)を駆使した穀粒1粒単位での品種識別法の確立を図る。
成果の内容・特徴
  1. 玄米の胚、胚乳および精米の各1粒を粉体にし、これをSDS10mg、不溶性PVPl0mgおよびProteinaseK20μgを含む0.4mlの緩衝液(0.1M This‐HCl pH8.0、0.05M EDTA、1.4M NaCl、l% CTAB)と共に56℃で30分インキュベート後、Pheno1: Chlofofofm: Isoamy1alcohol(25:24:1)清澄を行うことにより、玄米の胚1粒からは80~140ng、玄米の胚乳1粒あるいは精米1粒からは200~300ngの全DNAが抽出できる。
  2. 初星、はえぬき、朝の光、中生新千本、コシヒカリ、ひとめぼれ、あきたこまち、ヒノヒカリ、ササニシキ、ゆきひかり、キヌヒカリ、むつほまれ、きらら397および日本晴のイネ14品種において、玄米の胚1粒あるいは胚乳1粒から抽出した全DNAのRLGSにより、得られる2次元スポット像(RLGSプロファイル)に再現性のある品種特異的なスポット(RLGSスポット)が検出される(図)。また、コシヒカリとササニシキの精米1粒でも品種特異的なスポットが検出されることから、玄米と精米のいずれでもRLGSによって1粒単位で品種が識別できる。なお、胚乳よりも胚の方が高解像度のプロファイルが得られるため、玄米1粒での品種識別では検体を胚に限定すると良い。
  3. イチバンボシ、サヌキハダカおよびユウナギハダカのオオムギ3品種においても、原麦の胚1粒から同法によって300~330ngの全DNA溶液が抽出でき、これを用いて品種特異的なRLGSスポットが検出されることから、RLGSによるオオムギ原麦1粒での品種識別も可能である(図)。
成果の活用面・留意点
  1. 品種特異的なRLGSスポットに対応するDNA断片をクローニング・解析し、PCR原理に基づくAFLPやRAPD等のDNA多型検出法で使用するプライマーの構築に利用することができ、穀物がブレンドされているか否かの簡易評価技術の開発に活用できる。
  2. RLGSを行うにはラジオアイソトープ施設が必要である。X線フィルムを用いたオートラジオグラフィは時間がかかるのでイメージングプレートを用いた方法が迅速で良い。また、多数のRLGSプロファイルの比較には目視では限界があるので画像解析処理装置の導入が望ましい。
図表1 228818-1.jpg
カテゴリ 大麦 評価法 品種

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