タイトル |
果樹園における液体マルチング資材を利用した園内作業道法面の侵食抑制法 |
担当機関 |
四国農業試験場 |
研究期間 |
2000~2002 |
研究担当者 |
吉川弘恭
中尾誠司
長谷川美典
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発行年度 |
2000 |
要約 |
アスファルト系乳化物を主原料とする液体マルチング資材を、園内作業道造成後の側方法面に吹き付けることにより、降雨による土壌侵食を抑制できる。また、資材の吹き付け量を増やすことにより、2年程度の侵食抑制が可能である。
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背景・ねらい |
近年、傾斜地カンキツ園では、園内作業道の整備が急速に進んでいる。道路の造成では、つぶれ地を最小限にし、低コスト化を図るため土工量を抑える必要がある。このため、法高が比較的高く、急勾配の法面が発生し、土壌侵食防止が重要な課題となっている。そこで、造成直後から植生が定着するまでの法面侵食抑制法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 法面に、水で3倍に希釈した市販のアスファルト系乳化物を主原料とする液体マルチング資材を、量を変えて噴霧器で吹き付ける(写真1,表1)。
- 約半年間の法面からの総侵食量は、吹き付け量が少ない(約1リットル/㎡)場合は、裸地の約40%に、多い(約3リットル/㎡)場合は約20%となり、土壌侵食が大幅に抑制できる(図1)。
- 液体マルチング資材吹き付け一年目は、吹き付け量の多少に関わらず侵食抑制効果が高い。2年目になると、吹き付け量が少ない場合の侵食量は裸地を上回るが、吹き付け量が多い場合は、2年目も抑制効果が維持される(図2)。
- 液体マルチング資材の吹き付け量は、半年から1年程度の侵食抑制を考える場合は、約1リットル/㎡、2年程度の効果を期待する場合は、約3リットル/㎡が必要である(表1,図1,図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本法の対象は、法面における雨滴や表面流による侵食の抑制であり、法面の滑落や崩壊などの現象には別途防止技術を考える必要がある。また、法面土壌の種類によって、土壌侵食抑制効果は異なる。
- 液体マルチング資材の価格は200リットル当たり約2.6万円で、1年程度の侵食抑制を目的とする場合の経費は約43円/㎡である。
- 液体マルチング資材の安全性については、帯広畜産大学、十勝農協連合会、日本食品分析センタ-において分析され、作物体や土壌環境に影響のないことが確認されている。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
傾斜地
低コスト
土壌環境
その他のかんきつ
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