夏季におけるリマン海流域の海洋構造

タイトル 夏季におけるリマン海流域の海洋構造
担当機関 日本海区水産研究所
研究期間 1994~1996
研究担当者 小川嘉彦
平井光行
発行年度 1994
要約 夏季に日ロ共同スルメイカ資源調査の一環として実施したロシア沿海州沿岸域での海洋観測資料を解析し、リマン海流は寒流というよりはむしろ対馬暖流と類似した暖流的性格をもつことを明らかにした。
背景・ねらい ロシア沿海州沿岸域には、リマン海流と呼ばれる弱い寒流が存在すると考えられていた。しかし、現在この海域での観測や情報の入手が難しいこともあって、詳細な観測結果に基づいた海洋構造は十分に明らかにされているとは言い難い状況にあった。そこで、ロシア太平洋漁業海洋研究所と共同して夏に沿海州沿岸海域でスルメイカ資源の分布状況と海洋環境の特徴を把握するための調査を実施し、この観測結果に基づいて夏のリマン海流域における海洋構造の実態を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 1992年7月1日~20日と1993年6月29日~7月18日に山形県立加茂水産高等学校の実習船鳥海丸でCTD, XBTを用いて行った(図1)。
  2. 沿海州沿岸域は、表面水温分布では寒流域と呼ばれるように沿岸側が相対的に冷水域となるパターンを示すが、50m深水温分布ではむしろ暖水域となっていた(図2)。
  3. 沿海州沿岸海域では、季節水温躍層以浅のごく表層を除いて沿岸側に高温・低塩な低密度水、沖合側に低温・高塩な高密度水が分布し、30m~100m深には明瞭な水温・塩分・密度前線が形成されていた(図3)。
  4. リマン海流域の海洋構造は、沿岸側に低密度水が分布し沖合の高密度水との間に前線を形成しているという点で「沿岸境界流」と類似していた。また、季節水温躍層以深では沿海州沿岸側は日本海中央部よりも相対的に高温域となっていることから、リマン海流は寒流と言うよりはむしろ対馬暖流と類似した暖流的性格をもつと言える(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 日本海の表層の海水循環の解明に寄与し、浮魚類の漁場形成予測の精度向上に役立つ。
  2. 伝統的に用いられている「リマン寒流」という用語の再検討が期待される。
  3. 今後さらにロシアとの共同観測体制の強化を図る必要がある。
図表1 228928-1.gif
図表2 228928-2.gif
図表3 228928-3.gif
図表4 228928-4.gif
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