タイトル |
ヒラメ種苗放流場の餌料条件の把握 |
担当機関 |
日本海区水産研究所 |
研究期間 |
1994~1995 |
研究担当者 |
藤井徹生
野口昌之
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発行年度 |
1994 |
要約 |
放流されたヒラメ種苗の成長が主要餌料生物であるアミ類の豊度により影響されること、利用されるアミ類が特定の種類や大型の個体へ偏る傾向があることから、ヒラメ種苗の放流には餌料条件に十分な注意を要する。
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背景・ねらい |
ヒラメは重要な栽培対象魚種であることから、ほぼ日本全域で種苗放流が実施されており、各府県での年放流尾数は数十万から百数十万尾と急速に増大している。しかしながら、放流域の環境収容力が問題となっており、主要な餌料生物であるアミ類の豊度と放流種苗の生残、成長との関係解明が求められている。
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成果の内容・特徴 |
- 1990年から1994年までの間、新潟市の砂浜海岸を放流モデル海域として、各年体長50mm前後のヒラメ種苗を50,000~120,000尾試験放流し、曳網採集によって放流種苗及び餌料競合魚類の摂餌生態を追跡調査した。合わせて、アミ類の分布量についても調査した。
- 放流種苗とアミ類を競合捕食する主要魚種は天然のヒラメ稚魚、アラメガレイであった。
- アミ類が豊富な年は放流種苗の摂餌状態や成長が良好であるが、少ない年は摂餌率、摂餌量、栄養状態を示すRNA/DNA比、及び成長速度が劣った(図1)。
- 対照水域と比較して、放流域のアミ類の分布量は放流9日目あたりから減少した(図2)。
- 放流種苗が捕食するアミ類は大型の個体が多く、かつAcanthomysis robustaなどの特定種に偏る傾向が認められた(図3)。
- 対象水域と比較して、放流域のアラメガレイが捕食する餌生物中のアミ類の比率とサイズに低下傾向が認められた(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- ヒラメ種苗の放流に当たっては、放流水域におけるアミ類について分布量のみならず種組成、サイズにも留意することが必要である。
- 今後のヒラメ種苗の放流では、アミ類を競合捕食する魚類の存在の有無など、生態系への影響についても配慮が求められる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
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