飼育下におけるマダラの繁殖行動

タイトル 飼育下におけるマダラの繁殖行動
担当機関 東北区水産研究所
研究期間 1994~1996
研究担当者 斉藤憲治
服部 努
発行年度 1994
要約 マダラ(Gadus macrocephalus)の繁殖行動を調べた結果、マダラでは弱粘着性の沈性卵を産出すること、産卵時のventral mounting行動および雄間の威嚇・攻撃行動が存在しないこと、雌が1産卵期に1回限りの産卵を行い、雄が雌を追尾状態で産卵することが明らかとなり、その繁殖行動がスケトウダラや大西洋産タラ科魚類と異なることが明確となった。
背景・ねらい マダラの産卵行動を含めた繁殖特性に関しては、マダラが沿岸域で産卵するにもかかわらず、充分に解明されていない。マダラの繁殖特性の解明は、北半球に広く分布し高度に繁栄、分化しているタラ科魚類の繁殖戦略を知る上でも重要である。同時に、マダラが産卵場においてどのように産卵し、産出卵はどのような性状であるのかを明らかにすることは、産卵場の特性を知り、マダラの繁殖群の形成過程を知る上で非常に重要であると考えられる。そこで、飼育下におけるマダラの繁殖行動を観察し、マダラの繁殖特性および産出卵の性状等を調べた。
成果の内容・特徴
  1. マダラの飼育実験において、放卵および放精をともなう産卵行動を確認し、ビデオにその行動を収録できた回数は5例であった。そのビデオの分析から、マダラの雌は1産卵期に1回限りの産卵を行い、1回の産卵行動(1分以内)でほぼ全ての卵を産出すること、雄が雌を追尾状態で産卵すること、卵は弱粘着性の沈性卵で水槽底にばらまかれるように産出されることが明らかとなった(図1)。このことから、マダラの産卵行動は、スケトウダラや大西洋のタラ科魚類の1産卵期に複数回、雌雄1対のventral mountingで分離浮遊卵を産出する産卵行動とは異なり、コマイとともにタラ科魚類中で特異なものであることが明らかとなった(図2)。
  2. 実験期間を通して個体毎の飼育経過を調べた結果、産卵21例中15例が同時あるいは連続産卵であり、単独の産卵は6例のみであった(図3)。このことから、マダラは実際の産卵場において同時あるいは連続して産卵を行う可能性が示唆された。
  3. 飼育に用いたマダラの水槽内での産卵日を調べた結果、産卵日は12月下旬から1月上旬までの極めて短期間であり、特に12月25日から1月2日に産卵を行った個体が多いこと、および夜間に産卵を行った個体が多いことが明らかとなった(図4)。このことから、実際の産卵場においてもマダラの産卵期は短期間であり、夜間にマダラの産卵が行われる可能性が高いと考えられた。
成果の活用面・留意点
  1. マダラの繁殖特性に関する知見を資源保護および資源増大技術に反映させることが可能である。
  2. マダラの産卵行動をほぼ解明できたと考えられるが、あくまでも飼育実験下の結果であるのでその点に留意する必要がある。
図表1 228933-1.gif
図表2 228933-2.gif
図表3 228933-3.gif
図表4 228933-4.gif
カテゴリ ばら 繁殖性改善

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