イカ肝臓の蓄積化学物質による全海洋汚染監視手法の開発

タイトル イカ肝臓の蓄積化学物質による全海洋汚染監視手法の開発
担当機関 中央水産研究所
研究期間 1991~1994
研究担当者 高柳和史
山田 久
発行年度 1994
要約 世界中の海洋に分布するアカイカ科のイカの肝臓中の有害物質を分析することによって、全地球的な汚染マップが効率的に作成できることを実証し、さらに汚染が北半球に偏っていることを明らかにした。
背景・ねらい 現在でもなお、水域の生態系に影響を与えかねない物質が、微量づつながら海域へ流れ出している。海域へ流入した物質は海流等により、地球上の全海洋へ拡散し、広範囲の生態系に徐々に影響する恐れがある。これを防止するためには、海洋汚染の初期の段階で、全地球的に汚染状況を的確に把握し、その対策を講じる必要がある。
成果の内容・特徴
  1. 海洋に広範囲に分布するイカ類の肝臓には、有機スズ化合物(TBT、TPT)や人工放射性元素が、海水中の104~108倍もの濃度で肝臓中に濃縮・蓄積されている。
  2. 上記物質の生物濃縮率はアカイカ科のイカの間では種類によって大差なく、また、蓄積量は体重に比例する。
  3. したがって、一定の大きさのアカイカ科のイカの肝臓を分析することによって、その海域の汚染を鋭敏に検知することができる。
  4. 以上の成果をもとに、有機スズ化合物の海洋汚染マップ(図1)等を作成した結果、汚染が北半球に偏っていることのほか、南半球にも拡散しつつあることが明らかになった。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究で開発された海洋汚染監視手法を、全世界の関係機関に普及できれば、きめの細かい海洋汚染監視体制を作り上げることができる。
  2. アカイカ科のイカの回遊状態から見て、1千Km単位の広範な汚染監視に向いている。
図表1 228946-1.gif
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