タイトル |
凍結耐性にみられる魚肉タンパク質の種特異性 |
担当機関 |
中央水産研究所 |
研究期間 |
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研究担当者 |
岡崎恵美子
福田 裕
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発行年度 |
1994 |
要約 |
魚肉タンパク質の凍結耐性は魚種によって異なり、高い水温に棲息する魚種の肉質ほど凍結耐性も高いことを明らかにした。
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背景・ねらい |
今日、凍結貯蔵される水産物は年間約400万トンにのぼり、輸入水産物、加工品を含めると更に膨大な量となる。しかし、凍結水産物に対する評価は、生鮮物に比べて格下の評価が定着しているところから、凍結水産物の高品質化は、水産物の消費拡大を図り豊かな食生活を支えるための重要な課題となっている。一方、PL法、HACCP、日付表示制度等の導入により、凍結魚肉の品質変化を予測したり、制御の条件を選択できる解析システムが求められている。
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成果の内容・特徴 |
- 寒帯から熱帯まで棲息水温が異なる7種の魚肉を異なる温度で凍結貯蔵し、筋原繊維のCa-ATPase活性の経時変化から変性速度を求め、魚種による凍結耐性(凍結貯蔵中の安定性の強弱)を速度論的に解析し比較した。凍結耐性の序列は弱い方から、ムネダラ、スケトウダラ、シロサケ、マイワシ、マサバ、テラピア、メバチマグロの順位となった(図1)。
以上の凍結耐性の序列は、熱安定性の序列とも一致していたので、一般に熱安定性の劣る魚種の筋原繊維タンパク質は凍結耐性もまた劣る傾向が明らかとなった。筋原繊維タンパク質の熱安定性は棲息する水温と相関することから、同タンパク質の凍結耐性もまた棲息水温と関連していることが示唆された。 - 凍結貯蔵温度と変性速度の関係をみると、貯蔵温度が高い場合は魚種差が大きいが、貯蔵温度が-40度以下になると著しく遅くなり、しかも魚種間の相違は非常に小さくなった。このことは、-40度以下に凍結貯蔵すると不安定な筋原繊維タンパク質を有する魚種でも安定な魚種同様に変性が抑制され、高品質長期貯蔵の可能性を示している(図1)。
- 次に、凍結変性を定量的に比較するためアレニウス解析し、筋原繊維のCa-ATPase活性の半減期(half life)、つまり魚肉の品質が50%まで低下する日数を求めた。一例として、-20度貯蔵の時の半減期は、ムネダラは30日、スケトウダラは70日、シロサケは160日、マイワシは210日、マサバは260日、テラピアは320日、メバチマグロは420日となる。
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成果の活用面・留意点 |
- 魚種数を増やし、精度を高めることによって、凍結魚肉の品質を概略予測可能となる。また、品質を保証するための凍結貯蔵温度と日数も概略選択することが可能となる。
- なお、本研究では凍結魚の品質を筋原繊維タンパク質の変性で代表させて評価した。これは、凍結魚肉の品質は多くの要素で構成されているものの、脂質の劣化、肉色素のメト化、テクスチャーの低下等、凍結魚肉の主要な品質低下要因は筋原繊維タンパク質の凍結変性と並行的に起こる場合が多く、また、筋原繊維タンパク質は特に基本的な品質構成要素であることが根拠である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
加工
消費拡大
長期保存・貯蔵
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