タイトル |
二枚貝生態系の数値モデルの開発 |
担当機関 |
北海道区水産研究所 |
研究期間 |
1993~1995 |
研究担当者 |
囲口哲
中村義治
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発行年度 |
1995 |
要約 |
二枚貝の好適生育条件を具体的に検討するために、ホッキガイを対象に稚貝の成長・生残、波による移動効果を組み入れた初期資源動態の数値モデルを開発した。
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背景・ねらい |
ホッキガイは北海道の沿岸漁業にとってホタテガイに次ぐ重要な二枚貝資源である。本種の資源発生量は不規則で、またホタテガイの ように天然採苗方式も成功していない。そこで、本種の安定した生産を達成するために人工種苗の放流と漁場造成による作り育てる漁業の推 進が重要である。開発したモデルは初期減耗の大きい稚貝期の好適生育条件を数値的に検討でき、効率的な放流方法と造成指針作成に寄与する。
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成果の内容・特徴 |
- 稚貝の自然死亡率と成長率に関する環境因子を現場での生物環境調査より推定する。
- 波による稚貝の移動算定式について、室内の波動水槽実験から導入する。
- 稚貝における生態的特性(死亡・成長・移動)を組み込んだホッキガイ個体群の変動モデルを作成した。(図1)
- 解析海域を道東の浜中湾に選定し、湾口部の沖波実測値と稚貝の初期分布を与え150日間計算を実施した。
- 初期の稚貝分布を仮想的に設定したにもかかわらず、150日後の稚貝分布(図2)は調査結果から推定される本種の漁場形成分布を裏付ける結果を得た。
- これらの解析から、当海域のホッキガイの優良な漁場造成には自然死亡率に関する底質のシルト含有率が10%以下にあることが必要条件となる。
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成果の活用面・留意点 |
- 漁場造成をする場合、構造物の設置にともなう環境改変と資源に与える影響を予測でき数値的評価から具体的な造成指針を立てることができる。
- 同様に、二枚貝の種苗放流や移植についても放流資源の歩留まりを事前に予測することにより適正放流条件(場所、時期、放流密度)を検索することができる。
- モデルの構造要素である成長率、死亡率、移動算定式については解析対象に応して作成し直す必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
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