タイトル |
魚肉と乳清(ホエー)の混合ゲル化技術の開発 |
担当機関 |
中央水産研究所 |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
福田 裕
岡崎恵美子
R. John. Pearce
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発行年度 |
1995 |
要約 |
魚肉と加熱後冷却したホエーの混合系にトランスグルタミナーゼと食塩を共存させ、低温度で加熱(坐り)することによる混合ゲル化技術を開発した。
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背景・ねらい |
国際的な漁業規制や日本近海資源の衰退によって魚肉すり身の自給率は急激に落ち込み、練り製品原料の海外依存度は増加の一途にある。こうした事態に対応してすり身代替原料の確保と品質の改良に第一のねらいがある。第二のねらいは、将来の食糧問題の対策として、異質成分間の互換性を高めることによって、食糧資源間の相互活用を推進するシステムを構築することにある。
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成果の内容・特徴 |
- 実験条件
- 調製した試料は図の右側に組成を示したように、Aはすり身だけの区分、BはA区分のすり身タンパク質の一部(全体の2.0%に相当)を予備加熱したホエータンパク質で置き換えた区分、Cは予備加熱しないホエータンパク質でBと同様に置き換えた区分、Dはすり身だけの区分であるがタンパク質濃度はB、Cと同じになるように調製した区分である。
以上のように調製した試料に、トランスグルタミナーゼ製剤(味の素製、アクティバTG-K)を0.3%、食塩を2%添加混合し、加熱した。加熱は30℃で任意の時間加熱後、85℃で30分間加熱する二段加熱を行った。
- スケトウダラすり身と予備加熱したホエータンパク質(β-ラクトグロブリンを主成分とする)の混合肉に対してトランスグルタミナーゼ製剤を添加すると、この塩摺り肉の坐り加熱ゲル強度は著しく向上した(図1)。
- この技術を応用すると、すり身の一部をホエータンパク質で置き換えても、スケトウダラすり身単独のゲル強度に近いゲル形成能が得られることがわかった。
- ホエータンパク質の予備加熱は、7%濃度の水溶液を85℃で15分間加熱し、直ちに冷却する条件で実施した。なお、ホエータンパク質は気泡を抱き込み易いので、脱気が必要である。
- ホエータンパク質は予備加熱するだけで、単独で坐りゲルを形成する性質に変化するが、スケトウダラすり身との混合系では同効果は発揮されず、トランスグルタミナーゼの共存が必須であることがわかった。
- 予備加熱しなかったホエータンパク質の場合はスケトウダラの坐り加熱のゲル形成能をむしろ阻害しているようにみえ、トランスグルタミナーゼの共存下でも向上効果は認められなかった。
- なお、予備加熱しなかったホエータンパク質にはスケトウダラすり身の火戻り温度帯でのゲルの劣化防止する効果があることがわかった。
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成果の活用面・留意点 |
ホエータンパク質の予備加熱条件、トランスグルタミナーゼの濃度、添加のタイミング、混合塩摺り肉の加熱温度などを適宜再検討することによって、さらによい条件が得られると思われる。
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図表1 |
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