タイトル |
着底トロールによる底魚類の資源量調査 |
担当機関 |
東北区水産研究所 |
研究期間 |
1996~1999 |
研究担当者 |
斉藤憲治
服部 努
北川大二
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発行年度 |
1996 |
要約 |
底魚類の資源量推定を行うため、調査船による面積-密度法を用いた漁獲試験を実施した。得られたマダラ、イトヒキダラおよびキチジの資源量推定値の動向は漁獲量の動向と対応関係が認められ、これまで以上に信頼性の高い資源量推定が可能となった。
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背景・ねらい |
我が国の国連海洋法条約の批准に伴い、200カイリ水域内の主要魚種の適切な資源管理を行う必要が生じ、科学的根拠に基づく許容漁獲量の算出が求められている。その際に必要不可欠な資源量推定を迅速かつ正確に行うため、調査船による底魚の類の漁獲試験および浮魚類の計量魚探調査等の直接推定法の確立が求められている。
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成果の内容・特徴 |
これまでの資源量調査では、トロール網の曳綱距離を網着底から巻き上げ開始までとして掃海面積(曳綱距離×網の袖先間隔)を算出していたが、水深の深い調査地点では曳綱距離を網離底までとして求めることが必要と考えられた(図1)。
- 調査海域(図2)を水深帯により数層に区分し、曳綱面積で漁獲物重量を排除して求めた密度の層別平均値に、各層の海域面積を乗じて資源量を推定した(図3)。推定されたマダラ、イトヒキダラおよびキチジの資源量の動向は漁獲量の動向と対応しており、調査で得られた資源量推定値はこれまで以上に信頼性が高いと考えられた。
- 同時に漁獲物の体長組成および年齢の把握を行うことにより、年齢別資源尾数の推定が可能となり、許容漁獲量算出のためのデータが得られた。
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成果の活用面・留意点 |
- 対象魚種の多い底魚類の資源量調査には、調査海域に分布する魚種の資源量を同時に推定できる面積-密度法が有効と考えられる。今後、漁獲量規制が行われるため、漁獲物の資料からの資源量推定が困難となる。漁業から独立した本研究の調査手法は有効かつ迅速な調査技術となるであろう。しかしながら、調査海域が分布域をカバーしていない魚種や中層遊泳性の魚種への適応は困難である。漁獲効率(網口の前の魚の何割が漁獲されるか)を魚種別に求め、資源量を推定する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
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