サンマの産卵時間帯と産卵間隔を明らかにする

タイトル サンマの産卵時間帯と産卵間隔を明らかにする
担当機関 東北区水産研究所
研究期間 1995~1999
研究担当者 栗田 豊
高橋祐一郎
手島和之
発行年度 1997
要約 サンマ産卵親魚を3日間にわたり、4時間間隔で連続採集した。卵巣を組織学的に調べて産卵時間帯と産卵間隔を推定した。その結果、産卵は日中に行われること、水温15℃前後での産卵間隔は約6日であることが明らかになった。
背景・ねらい 魚が"どこでどれくらい卵を産んでいるか"を推定するには、卵や仔魚を採集し、その分布と量を調べる方法と、成熟した親魚の分布や産卵数を調べる方法がある。サンマの場合は、仔魚が卵から孵化するまでに2週間ほどかかるため仔魚の採集場所と産卵場が一致しないこと、卵のネットによる採集が困難であるため量の把握が難しいことから、卵や仔魚を採集して産卵場や産卵量を推定するのは容易ではない。そのため親魚の情報から、産卵場や産卵量を明らかにする必要がある。この研究は、サンマの産卵場と1日あたり産卵数を推定するための基礎情報である、産卵時間帯と産卵間隔を明らかにすることを目的とした。
成果の内容・特徴
  1. 1995年6月29日~7月2日に、北緯40度、東経144度付近(水温14.8~17.7℃)において、4時間間隔で計14回、サンマ親魚を採集した。雌240個体(体長254~348mm)のうち181個体(75%)が成熟しており、残りは産卵終了後間もない個体であった。
  2. 卵巣を組織学的に観察して、卵巣内の排卵後濾胞(PO)を、全体の形状および濾胞細胞の細胞壁と核の形状を基準にしてPO1~3に分類した(表1)。ここでPO1が排卵後間もない濾胞で、PO2,3の順に排卵後の経過時間が長くなる。
  3. 吸水卵、PO1~3を持っている個体の出現を昼夜で比較したところ、PO1のみが昼間に多く出現した(表2)。このことは排卵が主に昼間に起こることを示唆している。一般に産卵間隔は、吸水卵またはPO1の出現率の逆数により推定される。昼夜の出現率に差がない吸水卵を用いて産卵間隔を推定する際には、どの時間帯に採集した標本を用いても推定値は偏らないが、サンマのPO1の様に大部分が昼間に出現する形質を用いて産卵間隔を推定する場合は、昼間に採集した標本のみを用いて推定する方が適当である。産卵間隔の推定値は、吸水卵を用いた場合は6.2日(1/(29/181))、PO1の昼間のデータのみを用いた場合は5.9日(1/(16/94))であった。
成果の活用面・留意点 この研究によって、サンマの産卵時間帯および産卵間隔の推定方法が明らかになった。より詳細に産卵間隔を推定するためには、吸水卵とPO1が持続する時間を水温別に明らかにする必要がある。
図表1 229069-1.gif
図表2 229069-2.gif
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