二枚貝の毒化予知がより的確に!

タイトル 二枚貝の毒化予知がより的確に!
担当機関 東北区水産研究所
研究期間 1997~1999
研究担当者 山崎 誠
鈴木 敏之
発行年度 1997
要約 ホタテガイなどの二枚貝を毒化させる原因プランクトンの持つ毒量が変化したり、毒を持たない株のあることが明らかとなり、これまで行われていた原因プランクトンの出現量の監視だけでなくその毒量を追跡する、ひいては海水中の毒量そのものの測定によってより的確な毒化の予知が可能になる。
背景・ねらい ホタテガイなどの二枚貝の毒化予知は、原因となるプランクトン(渦鞭毛藻)の出現量の観察とマウス試験による貝の中腸腺中の毒量の測定によって行われているが、プランクトンが一定量出現しても貝が毒化しないことがあり、二枚貝の出荷規制の解除を躊躇させる原因となっている。これまでの研究で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使ってプランクトンの持つ毒量を直接測定し、この毒量が時期や場所によって異なることが明らかにされていた。そこで、調査点に垂下・蓄養した二枚貝とその場所に出現するプランクトンの毒量を測定・比較して二枚貝の毒化の機構を追跡した。
成果の内容・特徴
  1. 青森県陸奥湾で下痢性貝毒原因プランクトンDinophysis fortiiの出現密度とホタテガイの中腸腺の毒成分(DTX-1)量を比較したところ、両者に明瞭な対応関係は認められず、プランクトン量がピークに達してから中腸腺中の毒成分がピークに達するまでには約3週間のズレがあった(図1)。
  2. Dinophysis fortiiの出現密度とHPLCで測定したD. fortiiの毒量とから計算した単位海水当たりのDTX-1の経時変化は、中腸腺のDTX-1の変化とよく対応した(図2)。
  3. 宮城県気仙沼湾奥部で1995年に観察されたDinophysis acuminataは出現量が多かったにもかかわらず、同じ調査地点に垂下したムラサキイガイは毒化せず、HPLCによるプランクトン中の毒量測定でも毒成分は検出されなかった(無毒株の発見)。
  4. 以上の結果から、毒化原因プランクトンの密度だけでなく、その毒量を把握することが二枚貝の毒化予知の精度を向上させる上で重要であることが判明した。
成果の活用面・留意点
  1. プランクトンの毒量を測定することで、二枚貝の毒化予知の精度が高くなる。
  2. プランクトンの計数と毒量の測定は、それぞれ労力を要する作業なので、海水中の毒量そのものを測定することで正確な毒化予知が合理的に行える。
  3. 現場への応用はその海域の毒成分組成の特徴を把握した上で行う必要がある。
図表1 229072-1.gif
図表2 229072-2.gif
カテゴリ 出荷調整

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