造礁サンゴの白化に伴う大規模斃死

タイトル 造礁サンゴの白化に伴う大規模斃死
担当機関 中央水産研究所
研究期間 1998~1999
研究担当者 藤岡義三
発行年度 1998
要約 1998年夏,南西諸島で発生した造礁サンゴの白化現象は,4年ぶりの本格的なものであった。調査の結果,
背景・ねらい 1998年,世界各地において大規模な白化現象が多発し,わが国においても,8月下旬~9月にかけて,南西諸島を中心に急速な広がりを見せた。白化とは,造礁サンゴに共生している褐虫藻が遊離して,サンゴの自い骨格が透けて見える現象のことであり,高水温,低塩分,水質悪化等の原因で引き起こされることが知られている。今回の白化は従来にない大規模なものであることが予想されたため,その状況把揖と,サンゴ群集への影響評価を行う目的で,詳細な現地調査を実施した。
成果の内容・特徴 1998年9月,石垣島周辺の5地点において,10×10mの大方形枠法を用いて,造礁サンゴの自化に関する野外調査を行った。今回の白化は1994年夏以来,4年ぶりの本格的なものであり,
  1. 近年最大規模,
  2. 白化程度が強い,
  3. 白化に伴う死亡が顕著,
といった際だった特徴が認められた。浅海域においては,平均85.9~92.2%のサンゴが白化し,これに伴う死亡が広範囲にわたって確認された(図1)。
白化や死亡の割合は種や生息場所により著しく異なり,体積に対する表面積が大きいクシハダミドリイシやオトメミドリイシ等において高くなる傾向が認められた。一方,コユビミドリイシやエダコモンサンゴでは,白化はするものの死亡率は低く,アオサンゴやユビエダハマサンゴでは白化率,死亡率ともに低かった(図2)。
成果の活用面・留意点 従来は,南西諸島における白化現象は多くの場合可逆的な変化であり,生態系やサンゴ群集の組成を改変するような影響はほとんど無いものと考えられてきた。しかしながら,1998年夏に発生した白化現象は,こうした定説を覆すものであった。
造礁サンゴの死滅がサンゴ生態系や魚類群集に与える影響については今後注意深く見守っていく必要があろう。
今回の白化現象と地球温暖化と関連性については,十分な検討を要するが,海洋生態系の維持と水産資源の持続的利用という観点からも,看過することの出来ない重大な間題である。
図表1 229092-1.gif
図表2 229092-2.gif
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