仙台湾のイカナゴ資源は復活したのか

タイトル 仙台湾のイカナゴ資源は復活したのか
担当機関 宮城県水産研究開発センター
研究期間 1998~2000
研究担当者 永島 宏
富川 なす美
発行年度 1998
要約 宮城県では仙台湾に生息するイカナゴを対象として1990年から操業自主規制等の漁業管理を実施している。資源評価のために底びき網試験操業、夏眠期潜砂資源量調査、資源の年齢構成調査を継続して実施したところ、試験操業の漁獲量は増加が見られないものの、夏眠期資源量は1996年以降若齢魚を主体として増加している。
背景・ねらい 仙台湾に生息するイカナゴは古くから春期沿岸漁業の重要な漁獲対象資源であり、当歳魚を火光利用敷網漁業で、成魚を抄網漁業で漁獲してきた。1984年から新たに底びき網漁業がイカナゴ漁業に参入したところ、それ以降の漁獲量は激減した。このため、1990年から火光利用敷網漁業の操業期間短縮と総漁獲量制限、底びき網漁業による漁獲の自粛が実行され現在に至っている。そこで、この漁業管理の効果を継続的に評価すると共に、イカナゴを指定海洋生物資源として定めるために必要な資源生態に関する情報を収集する。
成果の内容・特徴 資源評価は、底びき網による試験操業、夏眠期潜砂資源量調査、資源の年齢構成調査を総合して判断することにしている。
  1. 夏期(7月)に仙台湾15点で袋網にモジ網を使用した底びき網による30分曳網の漁獲試験調査を行った。1曳網あたりの漁獲量は1984年が11.9kgであったが、1991年には0.3kgまで減少した。漁業管理後の漁獲量は1~3kgの範囲で推移していたが、1998年は0.23kgと過去最低になった。
  2. 夏眠期(10月)に潜砂域である仙台湾の粗砂域13点で採集効率が求められている爪付桁網により資源量調査を実施した。推定された夏眠期資源量は1982年が103千トンであったが、底びき網試験操業結果と同様に1991年には6.7千トンまで減少した。漁業管理後は、1992~1995年の間当歳魚の加入動向により夏眠期資源量の激しい増減が続いたが、1996年以降は増加を続け、1998年は107千トンになった。
  3. 資源調査時に採集されたイカナゴの耳石年齢査定により年齢構成を推定した。1984年は2歳、4歳魚が主体であり、6歳魚以上の高齢魚も5%程度見られた。1997年は1歳、当歳魚、1998年は1歳、2歳魚が主体であり5歳魚以上の個体は確認されていない。
  4. 資源量は2つの調査結果の違いから総合的な評価が下せないが、夏眠潜砂資源はここ数年増加傾向にあることから、資源水準は上向きにあると考えられる。また、資源の質(年齢構成)は若齢魚主体であり、底びき網漁業参入前の状態には戻っていない。
成果の活用面・留意点 調査事業は平成12年度まで継続し、得られた資源評価結果と漁業実態を踏まえながら、再生産効率の最適化を目標にした許容漁獲量を検討し、資源管理に反映させる。
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図表2 229107-2.jpg
図表3 229107-3.jpg
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