宮城県北中部海域でのホタテガイ天然採苗のタイミングは何ではかるか

タイトル 宮城県北中部海域でのホタテガイ天然採苗のタイミングは何ではかるか
担当機関 宮城県気仙沼水産試験場
研究期間 1994~1998
研究担当者 伊藤貴
押野明夫
発行年度 1998
要約 1994年3月から1998年6月まで宮城県北部海域のホタテガイ調査から生殖腺指数の変化と浮遊幼生の発生状況および付着稚貝数との関係を検討した。その結果,生殖腺指数は水温上昇と連動して低下する傾向が見られた。付着稚貝数は,浮遊幼生のうち殻長250ミクロン以上の浮遊幼生密度との相関が比較的高く,ほぼ採苗適期の予測が可能となった。
背景・ねらい かつて宮城県におけるホタテガイ種苗は県外産に依存していたが,搬入後の斃死や種苗入手難等の問題が頻発したことから,地種養殖に移行してきた。しかし,ホタテガイの養殖海域の多くが外洋に面していることから,幼生は1ヶ月以上の浮遊期間内に散逸し,天然採苗を行う際の不安定要素となっている。そこで,過去数カ年の母貝の生殖腺指数,浮遊幼生数,付着稚貝数のデータ及び環境水温等を比較し,天然採苗のタイミングをはかる指標について検討することを目的とした。
成果の内容・特徴 1994年3月から1998年6月まで宮城県北部海域において,生殖腺指数の変化,浮遊幼生調査,付着稚貝調査を行った。得られた浮遊幼生および付着稚貝サンプルは,検鏡により種類判定・計数を行った。
  1. 生殖腺指数の低下し始める水温は,6~9℃の範囲にあるが,水温上昇が比較的急な場合には大量に産卵するが,水温上昇が緩慢なときは産卵も緩慢である傾向が見られた(図1)。
  2. 浮遊幼生の出現密度は生殖腺指数の低下が急である程高く,その後成長して付着する数も多い傾向が見られた(図1)。
  3. 浮遊幼生数のピークから付着盛期までの期間は,生殖腺指数の急激な減少が見られた年では短く,逆に緩やかな場合には,長くなる傾向が見られた(図1)。
  4. 付着稚貝数は,殻長250ミクロン以上の幼生密度との相関が見られ,殻長250ミクロンのピークが見られてから約1週間後に付着盛期を迎えると推察された(図2)。
  5. 殻長250ミクロン以上の幼生が20個体/平方メートル以上ある時に採苗器を投入すれば,1週間で200~300個体/器の採苗が可能であると考えられた。
成果の活用面・留意点 調査の結果については,採苗通報として関係機関に公表した。
平成11年度から13年度までの新規事業で,宮城県北部海域で,数地点での親貝成熟度調査,各地先および沖合5~6マイルまでの浮遊幼生調査,養殖漁場での付着稚貝調査を実施の予定。
図表1 229108-1.gif
図表2 229108-2.gif
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