シライトマキバイの蓋に見られる輪紋は年齢形質か

タイトル シライトマキバイの蓋に見られる輪紋は年齢形質か
担当機関 茨城県水産試験場
研究期間 1997~1998
研究担当者 安藤隆二
児玉正碩
発行年度 1998
要約 水深200~400mに生息している肉食性巻貝であるシライトマキバイを篭漁具を用いて漁獲し、蓋の内側に形成されている輪紋について検討した。輪紋数は2~11輪まで観察され、貝の成長に伴って輪紋が形成されるものと推測された。
背景・ねらい シライトマキバイは1981年に水深200~300m海域の篭漁具漁法試験で新しい漁業資源として開発されて以来、かご漁業及ぴ底びき網漁業の重要な対象資源となっている。
漁獲圧の増大に伴い資源の枯渇が心配される状況で、適正な漁獲管理を進めていくには本種の生態を明らかにすることが急務の課題となっている。
この調査の課程でシライトマキバイの蓋の内側部分(足付着部分)に輪紋が形成されているのを見つけ、この輪紋が年齢形質になりうるのかどうか、輪紋数と貝の大きさとの関係を調べ年齢指標の可能性について検討した。
成果の内容・特徴 1997年7~8月に、大津、川尻、久慈、那珂湊、大洋、鹿嶋、波崎の7地先の水深200~400mの海域で、篭漁具で漁獲した殻長26~130mmのシライトマキバイを供試した。
輪紋の観察はデラフィールドのヘマトキシリン染色液に数時間~数日間浸した後、表面の汚れを拭き取り、実体顕微鏡下で行った。
  1. 輪紋について
    蓋の外側は極めて細かい筋状の同心円の模様が認められるが、年齢形質を伺わせるような紋様は認められない。しかし、内側の足が付着していた部分には同心円の輪紋(図版1)が観察され、中心部の輪紋を1輪として外側に向けて輪数を計数した。
    また、この輪紋もきれいな同心円を呈していて輪紋数を容易に計数できるものと、不正輪が多く、輪紋数を計数できないものとが認められた。
    不正輪紋数の出現割合は水深200mの採取貝が29%、300mで5.9%、400mで1.7%と生息水深が浅いもので多くなる傾向がみられた。
  2. 輪紋数別の殻長組成
    輪紋数別の殻長組成を図1に示した。今回の供試貝では2輪から11輪までの輪紋数が観察されたが、2輪及び9~11輪を有する貝は僅かであった。
    輪紋数毎の殻長組成の推移をみると輪紋数が増えるに従って各輪紋数の平均殻長は大きくなっており、貝の成長に伴って輪紋が形成されることを示しているものと思われる。
    しかし、異なる輪紋数でも殻長組成では重複する部分が多く、単に大きさに規定されて輪紋が形成されるものでないことを示している。
    本種が生息している水深200~400mの水温は3~13℃で、水深が深くなるほど低水温で、かつ変動較差も小さくなるが、適正水温がもともと低い本種にとっては、この僅かな水温変動が輪紋の形成要因になっている可能性も考えられる。
成果の活用面・留意点 輪紋数が年齢形質となりうるのかどうか裏付けていくには小型貝からの追跡、成長様式等の検討を進めていく必要がある。
図表1 229112-1.jpg
図表2 229112-2.gif
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