異なったメバチ系群を判別する遺伝子マーカーの発見と系群間の混合率推定

タイトル 異なったメバチ系群を判別する遺伝子マーカーの発見と系群間の混合率推定
担当機関 遠洋水産研究所
研究期間 1999~2002
研究担当者 岡本浩明
宮部尚純
竹内幸夫
張 成年
発行年度 1999
要約 大西洋とインド-太平洋のメバチ2系群を判別できるミトコンドリアDNAマーカーを発見した。南アフリカ周辺の漁場で収集したメバチ標本を分析したところ、2系群からの個体が時期と海域によってさまざまな割合で混合していることが明らかになった。
背景・ねらい 高度回遊性魚類における遺伝的系群解析は非常に困難であることが予想されるため、高度に多型的な遺伝子マーカーの利用が必須であると考えられてきた。しかし、実際にはできるかぎり単純なマーカーの方が系群判別や混合率推定に対しては実用的である。
成果の内容・特徴
  • メバチのミトコンドリアDNA遺伝子型分析を行ったところ、全世界のメバチは大きく2タイプ(αとβ)に分けられることが分かった(図1)。
  • 大西洋の4標本244固体中ではαタイプが178個体出現したが、インド-太平洋の4標本195個体中ではαタイプが1個体しか見られなかった(図2)。
  • 大洋標本間では遺伝子型頻度が極端に異なること及び各大洋内の標本間では差がないことから、大西洋とインド-太平洋のメバチ個体群間には遺伝的交流がないと考えられた。高度回遊性魚類でこのような極端な差異を示す遺伝子マーカーが発見された前例はない。
  • 本マーカーを利用して南アフリカケープ沖漁場で漁獲されたメバチ標本を分析したところ、時期と海域によって大西洋系群の混合率が標本ごとに数%から100%まで大きくばらついた(図2)。すなわちこの海域では両系群が混合/棲み分けしていることが示唆された。
成果の活用面・留意点 本研究で発見された非常に単純な遺伝子マーカーを用いれば、メバチ2系群の混合率がかなり正確に推定できる。南アフリカ周辺海域では明らかに大西洋とインド洋のメバチ系群が混合しており、本マーカーは、それぞれの系群からのメバチがどれぐらい漁獲されているかを推定する指標になりうる。また、標本を時空間的にさらに細かく収集し分析することにより、海洋環境の変動と系群の動態との関連を明らかにできるものと考えられる。
図表1 229116-1.gif
図表2 229116-2.gif
カテゴリ DNAマーカー ばら

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