記録型標識によるクロマグロ幼魚の回遊と海洋構造との関係

タイトル 記録型標識によるクロマグロ幼魚の回遊と海洋構造との関係
担当機関 遠洋水産研究所
研究期間 1999~2002
研究担当者 稲掛伝三
山田陽巳
瀬川恭平
発行年度 1999
要約 放流後3年半を経過して三陸沖で採捕されたクロマグロ2個体の記録型標識のデータを解析し、北太平洋においては黒潮続流、黒潮分派、親潮前線等の海洋構造と密接な関係を持ちつつ季節的な回遊を行っていることが示された。
背景・ねらい 記録型標識の利用により、採捕個体の日別の位置が推定できる技術が開発され、クロマグロの標識放流調査にも応用されている。長期間のデータを記録した標識が回収されたので、海洋気象衛星による海表面水温、海面高度などの大洋規模でのデータと重ね合わせることにより、本種の分布・移動を規制する海洋構造を考察した。
成果の内容・特徴
  • 1995年12月に放流した標識装着魚58個体のうち、3個体が1999年6~7月に放流後約3年半を経過して三陸沖で再捕された。ほぼ完全なデータが記録されていた2個体について、3年半にわたる分布移動が明らかとなった。
  • 3年半にわたってクロマグロの移動経路を解析した本研究の成果は世界初の事例である。
  • 2個体は放流後半年から1年間は東シナ海に分布し、その後1個体は日本海を北上し、津軽海峡を抜けて太平洋に移動した(図1)。他の1個体は本州南岸沿いに太平洋に移動した。その後再捕されるまで、両者とも北太平洋西部海域を夏季には160°E以西の三陸・道東沖に分布し、冬季には160°E以東の沖合域に分布した。
  • 位置情報と衛星データから把握した海洋構造と対比したところ、北太平洋では春季に黒潮続流域を西進、夏季に三陸沖を黒潮分派に沿って北上、秋季に親潮前線に沿って東進(図2)、冬季に日付変更線付近の黒潮続流域に向かって南下、という海洋構造に応じた時計回りの回遊パターンが認められた。
成果の活用面・留意点 記録型標識の照度センサーから推測される位置の精度は、海洋気象衛星データの位置精度に比べると著しく悪いので、標識内の表面水温、中層水温などの情報も加えて位置を補正する必要がある。
図表1 229119-1.gif
図表2 229119-2.gif
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