混合域におけるツノナシオキアミの広域分布並びに生活史

タイトル 混合域におけるツノナシオキアミの広域分布並びに生活史
担当機関 東北区水産研究所
研究期間 1997~2002
研究担当者 瀧 憲司
発行年度 1999
要約 1997年度2ヶ月に1回の割合で採集した標本を基に、道東、三陸・金華山及び常磐沿岸におけるツノナシオキアミの水平分布、産卵、再生産、成長並びに生産量を明らかにした。
背景・ねらい ツノナシオキアミは混合域において現存量が高く、サンマ等の重要な餌料動物プランクトンである。本種の分布や再生産に関する研究はこれまで金華山周辺等特定の海域で行われてきたが、その分布や再生産は水塊の移動に大きく影響されるため、環境との関係を明確にするためにはより広域のデータに基づき解析する必要がある。そこで、本研究は道東~常磐沿岸の広域の分布並びに生活史の実態を明らかにし、海域間で比較検討することを目的とした。
成果の内容・特徴
  1. 交尾・産卵は道東沿岸では10月、三陸・金華山と常磐沿岸で2~6月を中心に行われた。ファーリシア幼生や未成体への加入は道東沿岸では10月に限られ、三陸・金華山と常磐沿岸でほぼ周年行われた(図)。
  2. 孵化後1年以内と思われる小型成体(体長10~15mm)は全域においてほぼ周年出現していた。大型成体(体長15mm以上)は親潮の後退する8月から12月にかけて南の海域から順次消失した(図)。
  3. 100m深水温帯毎の年間平均分布密度をみると、幼生は分布重心を高水温帯側に置いていたのに対し、未成体と小型成体は広い範囲で出現した。一方、大型成体は低水温帯側に出現が限られた。
  4. 全海域における体長組成をみると、体長10mm以上は12月を除いて単峰型か2峰型を示した。また体長モードから成長曲線を推定すると、2~6月に成長が認められた。
  5. P/B比(年間生産量/平均現存量)は道東、三陸・金華山及び常磐沿岸で7.9、10.0及び10.9と算出された。道東沿岸でこの値が小さかった要因は、主に成長の早い幼生の出現が高水温期の10月に限られたことによると考えられた。
成果の活用面・留意点 本種の分布や生産量の特徴が今回初めて海域毎に明らかにされ、今後サンマ、スケトウダラ等TAC対象魚種の摂餌環境の評価に貢献していく。
図表1 229147-1.gif
カテゴリ 成長曲線

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