カツオの耳石における日周輪形成の証明

タイトル カツオの耳石における日周輪形成の証明
担当機関 遠洋水産研究所
研究期間 2000~2001
研究担当者 魚崎浩司
松本隆之
田邉智唯
発行年度 2000
要約 カツオの耳石に蛍光物質よる標識を付けて飼育した後、顕微鏡で耳石を観察することにより、1日1本の日周輪が形成されることを証明した。日周輪を数えることより、若齢期(尾叉長40cm以下)の成長を知ることが可能となり、カツオの回遊行動や産卵場を明らかにするための基礎ができあがった。
背景・ねらい 耳石(平衡石)の日周輪解析は、魚類の成長研究の最も有望な手法であり、現在多くの魚種の日齢査定に用いられている。耳石を使って成長を調べるためには、1日1本の割合で日周輪が形成されることを確認する必要がある。当研究所では、カツオにこの手法を適用するために、耳石の処理・観察方法の開発に取り組んでいる。ふ化後から稚魚期までの輪紋については、1997年から耳石縁辺成長率の経時変化による検証を行い、日周輪の形成を確認できた。本研究では、飼育実験により幼魚期以降にも日周輪が形成されることを直接証明した。
成果の内容・特徴
  • 2000年8月に鹿児島県笠沙町において曳縄によって捕獲した小型カツオ137個体(体長24~28cm)に蛍光物質(オキシテトラサイクリン(OTC))溶液2mlを筋肉内注射し、湾内の生簀(7m×7m)に収容し、30日間飼育した(図1)。
  • 30日後に取り上げたカツオから取り出した耳石を蛍光顕微鏡で観察し、飼育開始時点でOTCによりマーキングされた輪紋から縁辺部までの輪紋数を計数した(図2、3)。
  • 計数した20個体のOTCマーキング以降に形成された平均輪紋数は29.4(範囲26~38)で、今回計数した輪紋は日周輪と判断した(二項検定、有意水準5%)(図4)。
  • 稚魚期の耳石輪紋形成の日周期性と合わせて、全生活史における日周輪の形成が確認され、カツオでの年齢成長研究の基礎が確立した。
成果の活用面・留意点
  • 今後各サイズのカツオの日齢・年齢を査定し、成長様式を解明することが可能となった。
図表1 229158-1.gif
図表2 229158-2.gif
図表3 229158-3.gif
図表4 229158-4.gif
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