ハダカイワシ類の生物量と摂餌量の定量・ハダカイワシはサンマの敵?

タイトル ハダカイワシ類の生物量と摂餌量の定量・ハダカイワシはサンマの敵?
担当機関 東北区水産研究所
研究期間 1997~1997
研究担当者 桑田晃
高橋一生
杉崎宏哉
発行年度 2000
要約 ハダカイワシ類の定量調査に成功し、初夏の東北沖混合域において重量比にしてサンマ生物量と匹敵するほどの量であることが明らかになった。また安定同位体比測定結果から、ハダカイワシ類の中でも日周鉛直移動を行う種の春季から夏季の食性がサンマなどの浮魚類と近似していることを示した。
背景・ねらい ハダカイワシ類はサンマ等の小型浮魚類と同じく、大型動物プランクトンを主要な餌料としていると考えられているが、生態的知見は少なかった。しかし、このグループは外洋域において卓越した生物量があることが断片的に知られており、外洋域を重要な生育場、索餌場としているサンマやマイワシなどの魚種にとって、ハダカイワシ類による摂餌圧は、資源量変動を左右する餌料環境変動に大きな影響を与えるものと推察される。
本研究では近年開発されたネットを導入することにより従来困難であったハダカイワシ類生物量を定量し、体組織の窒素と炭素の安定同位体比を分析することにより、ハダカイワシ類とサンマの食性を季節毎に比較しハダカイワシの摂餌がサンマ餌料環境に与える影響を考察した。
成果の内容・特徴
  1. 定量採集の結果、ハダカイワシ類の生物量は本州東方沖合域では平均1.23g/m2(最大4.07g/m2)であることを明らかにした(図1)。
  2. ゴコウハダカとナガハダカが一日に摂餌する動物プランクトン量を見積もると、最も摂餌圧が高くなるのは混合域のゴコウハダカで約70mg/m2と推算された(表1)。
  3. 安定同位体比の測定結果から、春季から夏季に夜間浮上種の炭素の同位体比がサンマの炭素の同位体比と近似し、秋季から冬季にはハダカイワシ類の食性は浮魚類とややずれてくることが明らかにされた。
成果の活用面・留意点 今回の成果によりサンマの餌料環境変動には様々な種間関係が影響を与えていることが示唆された。これらの捕食圧を考慮することで資源変動を予測する上で重要な情報となる仔稚魚の成長や生残率を推定し、より正確な資源変動予測が可能となる。この成果は動物プランクトンの変動を多面的に研究し浮魚類の餌料環境を明らかにするプロジェクト「太平洋漁業資源」における成果のひとつである。
図表1 229183-1.gif
図表2 229183-2.gif
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