新たな二枚貝養殖対象種エゾイシカゲガイの種苗生産

タイトル 新たな二枚貝養殖対象種エゾイシカゲガイの種苗生産
担当機関 宮城県水産研究開発センター環境養殖部
研究期間 1998~2002
研究担当者 松浦裕幸
発行年度 2000
要約 宮城県沿岸域の二枚貝類養殖ではマガキ、ホタテガイが主要種となっている。多様化するニーズに対応し、漁業生産向上させるため、新たな養殖種の開発が求められている。そこで、寿司ネタとして珍重されていながら全国で種苗生産、養殖の実績がなく、市場において独自ブランドを確立させやすいエゾイシカゲガイを選定し、種苗生産に関する基礎資料を得た。キーワード:エゾイシカゲガイ、採卵、産卵誘発、浮遊幼生
背景・ねらい エゾイシカゲガイは、通称「石垣貝」として主に寿司ネタに用いられており、安定供給のために養殖化が望まれている。しかし、本種については研究の歴史が浅く、産卵生態に関する情報も少ない。そこで、本種の人工種苗生産に必要な採卵時期、産卵誘発方法、浮遊幼生の飼育方法等の検討を行った。
成果の内容・特徴
  1. 海水温の下降する11月下旬には生殖巣内に活性の高い精子が観察され、採苗可能な期間は12月から翌年4月までに及んだ。
  2. 産卵誘発方法は温度刺激法と紫外線照射海水法、これら2法併用が有効であった。さらに、誘発が不調な場合の補完的な方法としては、セロトニン添加海水注射法も有効であった(表1)。
  3. 受精卵は乳白色のほぼ完全な球状で、平均卵径は89μmである。10℃で静置した受精卵からD型幼生(殻長約140μm)に達するまでに、約48時間を必要とした。
  4. 浮遊幼生の適正収容密度は3個体/mlで、水温15℃の場合、約25日で着底した(図1)。
  5. 各種餌料による給餌試験(14℃)の結果から、最適餌料種はChaetoceros gracilisがその一つとして推奨される(図2)。
成果の活用面・留意点 本種はマガキ、トリガイ、アカガイ等の夏季に種苗生産する種と異なり、最低水温期に種苗生産ができ、施設を有効に利用できるメリットがある。飼育中は天然の海水温をわずかに加温するだけで済み、コストの面でも有利である。新たな養殖対象種としては非常に有望である。
現在、養殖実験中であるが、タライ養殖方法であれば殻長5cmを越えた商品サイズまでに2年程度で達するものと見込まれている。
図表1 229190-1.jpg
図表2 229190-2.jpg
図表3 229190-3.gif
図表4 229190-4.gif
図表5 229190-5.gif
カテゴリ コスト シカ

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