アポトーシス誘導を指標とするin vivoバイオアッセイ法の開発

タイトル アポトーシス誘導を指標とするin vivoバイオアッセイ法の開発
担当機関 (独)水産総合研究センター 中央水産研究所
研究期間 2001~2003
研究担当者 山下倫明
尾島信彦
発行年度 2001
要約 DNA断片化を特異的に染色して胚のアポトーシスを観察する手法を確立し,アポトーシス誘導の機構を明らかにした。水産加工残滓を食品・医薬品素材として利用するため,アポトーシスの誘導物質・阻害物質を探索するバイオアッセイ法を開発した。
背景・ねらい 魚類胚は熱,放射線,紫外線,薬剤などのストレスに対する感受性が非常に高いことから,生体へのストレスの影響のメカニズムを解析する上で,重要なモデルとなる。従来,哺乳類培養細胞系を用いて,アポトーシス(自己細胞死)の誘導機構の解析がなされ,発生,形態形成,老化,免疫などの生理作用に重要な役割を果たすことが知られている。本研究は,魚類胚を研究材料として用いて,in vivoでのアポトーシスの発現と生物学的意義を明らかにすることを目指した。DNA断片化を特異的に染色するterminal deoxynucleotidyl transferase-mediated nick end labeling(TUNEL)法で観察する手法を開発し,アポトーシス誘導の分子機構を解析した。
成果の内容・特徴
  1. ゼブラフィッシュおよびヒラメ胚を用いて,ストレス処理およびアポトーシス誘導剤C2セラミドの投与によるアポトーシス誘導を観察した。胚のTUNEL染色(図1)およびカスパーゼ活性(図2)によってアポトーシスの高感度検出が可能であった。
  2. 感覚器,耳胞,眼,脳,脊髄および膜鰭で激しいアポトーシスが生じ,目の小型化,膜鰭の崩壊,脊索の屈曲・彎曲などの形態異常が生じた。このことからアポトーシスは組織特異的および発生段階特異的に生じることが明らかとなった。
  3. 魚類細胞の主要なアポトーシス実行分子カスパーゼをクローン化した。この分子を過剰発現させた胚では顕著なアポトーシスが誘導されたことから,魚類胚の実験系はin vivoでのアポトーシスのモデル系として利用可能である。
  4. 魚類胚へのカスパーゼ阻害剤 carbobenzoxy-Asp-Glu-Val-Asp-fluoromethyl ketone投与によって,ストレス誘導性のアポトーシス経路が阻害された。この手法によって,生物活性物質の作用を個体レベルで解析することが可能である。
成果の活用面・留意点 水産加工残滓からアポトーシスの誘導剤や阻害剤として利用可能な生物活性物質のスクリーニングを現在進めている。今後,食品,医薬品,餌料などに利用できる素材開発に本手法を応用する。
図表1 229227-1.gif
図表2 229227-2.gif
カテゴリ 加工 薬剤

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