揺動式海藻着生装置の開発

タイトル 揺動式海藻着生装置の開発
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター水産工学研究所
研究期間
研究担当者
発行年度 2003
背景・ねらい ウニの優占する磯焼け域で藻場造成を行うためにはウニの食害防除対策は不可欠の技術である。従来その対策として漁網,人工海藻などからなるウニ防除フェンスの開発,忌避物質の利用などが試みられてきたが,いずれも実用化には至っていない。また,最近,水深を浅くして波動流を強くする土木的工法が,管理を要せずに半永久的に機能する実用的藻場造成技術になることが明らかにされたが,そのような方法で静穏時にもウニの食害防止に十分な波動を発生させるためには水深をかなり浅くしなければならず,費用面から適用範囲が限られてしまう。そこで,波動を変えるのではなく,弱い波でも基質をよく動くようにすることで,物理的に不安定な環境を作り出し,ウニの食害防止を行う海藻着生装置の開発を検討した。
水槽実験,試験装置の試作および現地試験の結果,
  1. 効果,耐久性(耐食性,耐波性),施工性,製作費用を総合的に考慮した最適な構造(T字型揺動式海藻着生装置),
  2. ウニの這い上がりを防止するのに必要な揺動条件,
を示した。
T字型揺動式装置は,軸に直角に取り付けられた1対の着生盤を支えるアームと抵抗板から成るT字型断面の本体が,抵抗板が波動流を受けることによって揺動するようになっている。また,本装置の効果は,ウニが揺動する本体を移動し難くなることではなく,動かない軸受の支柱と振動する軸表面との相対運動によってウニが支柱から軸へ乗り移り難くなることによる。このため,波の弱いところではこの相対運動を,軸径を大きくする代わりに円盤を取り付けて大きくする。
成果の活用面・留意点 静穏時でも二乗平均平方根(rms)流速で数cm/sの波動流があれば,本装置をウニの優占する海底に設置してもウニの這い上がりを防止できることから,
  1. 海藻の生育阻害要因がウニの食害によるかを判定する試験に利用できる,
  2. 天然の藻場は毎年の環境によって衰退と回復を繰り返しているが,本装置を要所要所に設置することにより,毎年の母藻を確保し,衰退後の藻場の回復を早めることが期待される。
試験装置の利用に際しては,設置場所での波動流速の発生確率分布を把握する必要がある。
図表1 229447-1.gif
カテゴリ 病害虫 防除

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