背景・ねらい |
ねらい・目的
- ちりめんじゃこ製造時には多量の煮汁が生じ、その大部分は廃棄される現状にあり、有効利用が望まれている。
- 煮汁の成分分析を行った結果、グルタミン酸やイノシン酸等の呈味成分やタウリンを多く含むことがわかり、エキス製造について検討した。
- エキスの利用価値を高めるため、その調味液を利用した加工品の開発および生理活性機能の探索、機能性成分の特定を行った。
成果の特徴
- 酵素処理により、液の清澄化、エキス分の回収率向上、呈味性の向上、濃縮時における発泡の抑制を得ることができた。(図1)
- 濃縮によるBrixを高め、室温保存可能なエキスが調製可能となった。
- 電気透析膜法により、エキス分は残存させ、塩分のみを効率の良く除去することができた。
- セライトろ過により、透明度の高いエキスを製造することができた。
- エキスの製造工程を確立することができた。(表1)
- ちりめんエキスは煮干しダシに類似しているが苦味が抑えられ旨味、甘味を強調したような風味を持っていた。しかし、魚特有の匂いを持つ等充分な呈味性を有しているとは言えず、単独の利用は困難と判断された。
- 他エキスとの組合わせにより、旨味を相乗的に向上させる等、呈味性の向上が図られ、複合調味料の原料として活用できることを示した。
- エキスを利用した加工品の試作を行い、様々な加工品に利用できることが分かった。(図2、試作例)
- ACE阻害活性を測定したところ、煮汁には活性は認められなかったが、酵素処理後に高い活性が示された。(表2)
- ACE阻害物質は、分子量1000以下のフラクションに確認され、イワシ由来ACE阻害ペプチドと同様のジ・トリペプチドが生成されている可能性がある。(図3、表3)
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