タイトル | 利用目的に応じた河川放流用アマゴの系統開発 |
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担当機関 | 岐阜県淡水魚研究所 |
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発行年度 | 2003 |
背景・ねらい | ねらい: 食用、放流用として重要な産業種であるアマゴは生後1年目の初冬に同じ群の中から降海型であるスモルトと河川残留型であるパーの2つの相が出現する。スモルトは資源の減少が危惧されているサツキマスの増殖用種苗として、パーは定着性が高いため河川上流域における放流用としてそれぞれ重要である。このようにこれら2つの相は利用目的が異なっており、目的に応じて各相を効率的に生産するためにそれぞれの相の出現率の高い系統を作出する。 成果の特徴: スモルト系作出については、親魚に雌雄とも大型のスモルト個体を使うことでスモルト化率を高められることがわかり、その魚を継代した結果、スモルト出現率が約95%(図1)で、分化の決定期(9月)におけるパーとスモルトを決定づけるサイズ(臨界分化サイズ)が5~6gという実用的な系統を作出・固定することができた。 パー系作出については、1年目に成熟する早熟雄(河川残留型)を大型パー雌と交配させることで、パー同士の交配よりも大型パーの出現率が高まることがわかった(図2)。この継代選抜を3代にわたって行った結果、早熟雄の割合が高いもののスモルト出現率を10%以内に抑えることができた(図1)。本系統は臨界分化サイズが23.0~43.4g(図3)とばらつきが見られるため、未だ改良の余地はあるものの、パー系統として有用であると考えられる。 |
成果の活用面・留意点 | アマゴの放流は河川下流域の漁業協同組合がサツキマスになるスモルト系、上流域の漁業協同組合が河川にとどまるパー系と、それぞれの立地条件や利用目的で求めている相が異なるため、両系統の確立によりそれぞれの要望に合わせた放流に応じられる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
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