タイトル |
三宅島の噴火で被害を受けた磯根漁場の回復状況 |
担当機関 |
東京都水産試験場 |
研究期間 |
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研究担当者 |
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発行年度 |
2003 |
背景・ねらい |
ねらい: 平成12年の三宅島噴火にともなう降灰、泥流によって被害を受けた磯根漁場について被災3年後の回復状況を把握した。 成果の特徴: テングサは種類により生育状況に差が見られ、浅場に生息するオオブサは藻質、藻長とも良好であった。貝類ではフクトコブシ、サザエの生息が確認され、噴火直後に比べると一部の漁場では回復の兆しが認められたが、岩上への泥の堆積など陸上からの土砂の影響が確認され、漁場環境は依然不安定な状況にある。
<調査方法>平成15年5月~9月にかけて三宅島周辺海域の磯根漁場23地点において潜水によるテングサ類(1m)とフクトコブシ(4m2)の枠取り、目視観察および水中写真、ビデオ撮影により、海藻類の繁茂状況、貝類等の生息状況、土砂の堆積状況を把握した。
<結果の概要>- テングサの分布:テングサの枠取り結果によりテングサマップを作成した(図1)。やや深いところに生息するマクサとオバクサは付着物が多く成長も悪かったが、砲台からミノワの波打ち際で確認されたオオブサの群落は付着物が少なく、成長も良好であった。全体的に藻長が短く、平均着生量(465.1g/m2、5月調査時)は噴火前(866~1,654g/m2、平成1~5年)の40℅程度であったが、分布範囲は徐々に広がっており、回復傾向にある。
- 貝類等の分布:フクトコブシは場所により分布密度に差が見られたが、多いところで4m2あたり15個体の生息が確認された。8月の北東側の調査では採集された97個体のうち19個体が放流種苗であった。また、各地点で2,3歳と見られるサザエの生息が確認され、岩の隙間等にイセエビも散見された。
- 土砂・浮泥の堆積:砂泥の堆積は北東側の地点に多く見られたが、5月の調査では南西側のユノハマ~ウノクソの崖崩れ被害箇所にも土砂の堆積が認められた。8月、9月の調査では降雨後の泥流による砂泥の堆積が顕著であり、海中が白濁している場所も多かった。また、下部が白化した岩が多く確認され、漂砂が継続している模様であった。
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成果の活用面・留意点 |
調査結果を離島中の漁業者等関係者に報告し、得られた知見をもとに、今後の復興に向けた対策を検討する。
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図表1 |
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カテゴリ |
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