宿毛湾で漁獲されるキビナゴ資源の持続的・効率的な利用を目指して

タイトル 宿毛湾で漁獲されるキビナゴ資源の持続的・効率的な利用を目指して
担当機関 高知県水産試験場
研究期間
研究担当者
発行年度 2003
背景・ねらい ねらい:
全国有数の生産量であるにもかかわらず、ほとんど知られていない宿毛湾のキビナゴについて、漁業の実態と資源生態を明らかにし、資源の持続的、効率的な利用を目指す。
成果の特徴:
宿毛湾のキビナゴは、5~12月に漁獲が多いが、5~7月には前年生まれの大型親魚が、8~12月には当年生まれの稚魚~中型の未成魚が主体に漁獲される。同湾では、産卵は周年行われているが主産卵期は5~7月で、発生時期により成長に大きな差があることが明らかになった。
  1. 宿毛湾のキビナゴ漁業の動向:宿毛市漁業協同組合におけるキビナゴの年間水揚げ量は、1994年以降、1600t前後で推移している。漁法別の割合は、平均すると中型まき網が79%、湾北部で操業している愛媛県のまき網が13%、小型まき網が6%、定置網が2%を占めている(図1)。中型まき網は、宿毛湾口にある沖の島周辺を主漁場としており、漁期は概ね5~10月で5~7月の前半漁期と8~10月の後半漁期の2つに分かれる。愛媛県のまき網と小型まき網は宿毛湾沿岸を主漁場としており、水揚げは5、6月にはほとんどなく、中型まき網漁業の後半漁期に当たる8~12月が主漁期である(図2)。
  2. 漁獲物の体長組成:中型まき網で漁獲されたキビナゴの体長組成は、5~7月の前半漁期はSL7~10cmの大型魚が主体で、8~10月の後半漁期は5~10cmの中型魚が主体であった(図3)。小型および愛媛県のまき網で漁獲されたキビナゴの体長組成は、魚体は6月から2cm台の後期仔魚が見られ、以降は2~8cm台の後期仔魚~中型魚であった(図4)。したがって、宿毛湾で漁獲されるキビナゴは、7月までは7cm以上の大型魚が主体で、8月以降は2~10cmの小型~中型魚が主体となっていた。
  3. 生殖腺指数の推移:採集日毎の雌の生殖腺指数は、5以上の個体の割合が4月から増え始め、5月半ば~7月半ばにかけて半数以上を占め、8月にその割合は減少し、以降はわずかに見られる程度であった(図5)。キビナゴの産卵は宿毛湾では周年行われるが、主産卵期は春~夏であり、7月までの漁獲主体である大型魚は主に成魚で、8月以降の漁獲主体である小~中型魚は未成魚で構成されていた。
  4. 日齢査定結果:耳石による日齢査定結果によると、5~7月に中型まき網により漁獲された6.7~10.0cmのキビナゴは、概ね210~380日齢で前年の6~11月に孵化したものであった。7~12月に小型および中型まき網で漁獲された1.7~7.9cmのキビナゴは、概ね25~120日齢で当年4~11月に孵化したものであった。その中で、12月に成熟していた5.8~6.5cmのキビナゴは110~130日齢で、当年8~9月に孵化したものであった(図6)。したがって、宿毛湾で漁獲されるキビナゴは、7月までに漁獲される成魚は前年発生魚で、8月以降に漁獲される魚は当年発生魚で構成されていた。キビナゴの成長には、孵化時期により大きな差が見られ、また、当年孵化したものの中には、一部ではあるがその年のうちに成熟するものも確認された。
成果の活用面・留意点 資源の効率的な利用に向けて、この成果を基に資源管理、流通対策等で何が出来るのか、キビナゴ資源に注目している地元有志(キビナゴ会)とともに検討していく。
図表1 229490-1.png
図表2 229490-2.png
図表3 229490-3.png
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