春季の紀伊水道における暖水波及の短期変動とカタクチイワシ仔魚の分布

タイトル 春季の紀伊水道における暖水波及の短期変動とカタクチイワシ仔魚の分布
担当機関 和歌山県農林水産総合技術センター
研究期間
研究担当者
発行年度 2003
背景・ねらい 目的・方法:
紀伊水道で春季に漁獲されるカタクチイワシシラスは,太平洋南部海域で孵化した仔魚が黒潮に運ばれ,暖水波及によって漁場に来遊したものであると考えられている.しかし,従来の定線調査では,その実態を明確に示すことはできなかった.そこで,本調査では,2000年~2003年の早春季に1~2回,独自の調査定点を設け,仔稚魚の採集効率のよいボンゴネットを用いた分布調査を行った.ネットは水深50mまで(50mに満たない定点では最大水深まで)の傾斜曳を行った.計5回の結果からカタクチイワシ仔魚の分布と暖水波及の短期変動との関係を検討した.
成果の特徴:
暖水波及による仔魚の補給の様相は,以下の3つのケースに分けることができた.
  1. 暖水波及による仔魚の補給はほとんどない(2000年, 2001年, 2002年3月).
  2. 水温・塩分のフロントを中心に,様々な体長のカタクチイワシ仔魚が混在・集積している(図1,2).このケースは,暖水波及が継続した後にあたる(2002年4月).
  3. 海域全体に仔魚が広く分布している(図3).採集された仔魚の全長と発達段階は15℃の水温フロントの南北で明らかな違いがみられた(図4).水温フロントの北側の水塊には全長モード5mmの後期仔魚ばかりで前期仔魚はみられなかった.これに対し南側では全長モード3mmで採集数の13%が前期仔魚であった.いずれの水塊にも仔魚は多数存在していたと推定される.このケースは,規模の異なる暖水波及が断続的に起こった直後である.このケースが見られた年の春シラス漁は好漁であった(2003年).
成果の活用面・留意点 早春季の紀伊水道におけるカタクチイワシ仔魚の分布データは,瀬戸内海東部,とくに和歌山県沿岸でのシラス漁開始時期を検討する重要な情報である.毎回の調査結果は数日中に「紀伊水道春シラス漁場調査速報」としてとりまとめ,県内の漁協,漁業者,加工業者,近隣府県の水産試験場に情報提供している.また,今後,継続した調査結果の蓄積・検討を行うことによって,春シラス漁況予測精度の向上が期待できる.
図表1 229491-1.png
図表2 229491-2.png
図表3 229491-3.png
図表4 229491-4.png
カテゴリ 加工

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