タイトル |
日本周辺におけるキンメダイの生物学的特性と漁業の実態 |
担当機関 |
独立行政法人水産総合研究センター中央水産研究所 |
研究期間 |
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研究担当者 |
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発行年度 |
2003 |
背景・ねらい |
- 日本周辺に分布するキンメダイに関しては漁業の全体像や海域間の移動・交流及び再生産機構などに不明な点が多く,生物学的知見や資源状態の把握も断片的である。そこで,キンメダイの生物学的特性に関する知見の集約と漁業実態の把握を目的として,以下の研究を行った。
- 既往の文献・知見を収集・整理してキンメダイの生物学的特性(年齢と成長,加入年齢,寿命,産卵生態,分布生態,摂餌生態等)を把握した。
- 千葉県,東京都,神奈川県,静岡県,高知県のキンメダイの漁獲量とCPUEの経年変化に関する統計データ及び水産庁が収集している漁獲統計データに基づき,漁獲動向と資源状態を解析した。漁獲量の減少や漁獲物の小型化・若齢化といった乱獲の兆候は認められなかったが,漁獲量がピーク時の10,000トン台から6,000トン台に減少していることから,近年のキンメダイの資源水準は中位であり,資源動向は横ばいであるが,今後も資源動向に注視する必要があると考えられた。
- キンメダイ漁業と黒潮流路との関係を解析するため1997年~2002年の黒潮流軸位置を抽出した。2002年は伊豆諸島周辺海域で黒潮が接岸または安定して直進する傾向が続き,速い海流が釣漁業の操業に負の影響を及ぼして結果的にCPUEが低下したと考えられた。
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成果の活用面・留意点 |
- 集約された生物学的特性に関する知見は今後適切な資源管理を進める上で有効である。
- 漁業の実態把握は資源保護策を含む資源管理方策や操業規制の実施において重要な情報となる。
- 黒潮流路と漁業の操業効率との関係が把握されたことは,今後の海洋環境と資源の関係解析に重要な示唆を与えるものである。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
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