浮魚礁の海洋観測システムによる黒潮変動のリアルタイム把握

タイトル 浮魚礁の海洋観測システムによる黒潮変動のリアルタイム把握
担当機関 宮崎県水産試験場
研究期間
研究担当者
発行年度 2003
背景・ねらい
  • 日向灘の沖合にある表層浮魚礁うみさち1号~3号には水温計や流向・流速計等の観測機器が設置され,漁場管理強化システムとして運用されている。このシステムでは水温や流向・流速等の定点観測情報がリアルタイムに得られるので,これらの情報を基に日向灘の海況について検討を行った。
  • 1号の流向と流速の変化から黒潮の離接岸変動の把握が可能である。
  • 1号と2号の特異的な変動時期のタイムラグから黒潮小蛇行の東進現象を把握できる。
  • 1号~3号の水温変動より暖水波及の把握が可能である。
  1. 漁場管理強化システムによる定点観測
    一例として,平成14年4月~7月の1号及び2号の10m深の結果を示した(図1)。データは日平均データを使用した。1号の観測結果から,日向灘沖で黒潮が離岸傾向にある時は流速が弱く流向が大きく変動すること,黒潮が接岸傾向にある時は,流速が強く北東寄りの流向が卓越することが明らかとなった。また,黒潮が接岸から離岸傾向へ変化する際には,流向より先に流速が大きく変動した。
  2. 定点観測と沿岸定線調査結果の比較
    沿岸定線調査の10m深の水温分布図と,同調査時の定点観測結果について比較検討した(図2)。
    1. 平成14年4月調査時(黒潮は離岸傾向)
      1号の流速は0.5ノット以下と弱かった。水温分布図では,日向灘南部は沖合まで18℃台に覆われていた。2号では南~南西寄りの流向が卓越していたが,これは水温分布図では日向灘北部~中部沖合の暖水波及として確認された。
    2. 平成14年6月調査時(黒潮は接岸傾向)
      1号及び2号では北東~東寄りの流向が卓越し,1号の流速は2ノット以上と強かった。水温分布図では日向灘中部~南部を北東方向に延びる等温線がみられた。
    3. 平成14年7月調査時(接岸から離岸傾向への移行期)
      2号の流向は北東寄りだが,1号の流向は変動している。水温分布図では日向灘南部のほぼ全域が25℃台に覆われているが,沖合には黒潮の小蛇行部と考えられる水温が周囲より低い24℃台の冷水域が確認された。
  3. 定点観測と人工衛星NOAA画像の比較
    毎正時の1号~3号の水温変動と人工衛星NOAAの水温画像を比較検討した(図3,4)。その結果,NOAA画像から日向灘北部~中部で黒潮系水の暖水波及が確認された日(図4の左)の2号及び3号の水温は同日に急激に昇温しており,逆に,暖水波及が確認されなくなった日(図4の右)には,2号及び3号の水温は降温傾向となっていた。
成果の活用面・留意点 漁場管理強化システムの定点観測情報から,日向灘沖における黒潮の離接岸変動や暖水波及等による水温変動をリアルタイムに把握することが可能であり,これらの情報は短期的な海況変動の予測に極めて重要である。
図表1 229499-1.gif
図表2 229499-2.gif
図表3 229499-3.gif
図表4 229499-4.gif
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