DNAチップを用いた魚介類細菌性疾病の診断

タイトル DNAチップを用いた魚介類細菌性疾病の診断
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所
研究期間 2002~2004
研究担当者 釜石 隆
松山知正
大迫典久(養殖研病害防除部)
発行年度 2004
背景・ねらい 魚介類養殖業の発展に伴って生産量が増加し,養殖対象種も多様化したことから,魚介類の疾病も頻発かつ多様化してきており,その対策の確立が急務となっている。特に魚病の中でも,細菌性疾病は種類が多く,商品サイズの大型魚にも被害が及ぶことから,養殖業者は対策に頭を悩ませている。診断技法の開発は魚病蔓延防止策の基本であるが,現在行われている細菌性疾病の診断法では,さらなる診断精度の向上,検出時間の短縮,及び網羅的な病原菌の検出が求められている。
成果の内容・特徴 魚介類病原細菌のリボソーム16S rRNA遺伝子コード領域の中から,種々の病原細菌のそれぞれに特徴的な塩基配列を探索し,その部分の核酸(オリゴDNA)をナイロン膜上にスポットして,魚病の病原細菌検出用のDNAチップを作製した。このDNAチップを用い,標識した検査試料とチップ上でハイブリダイゼーションを行うことにより,病魚から病原体を検出することに成功した。このDNAチップを使用することによって,従来の培地を用いた培養による病原菌の検出に比べて診断までの時間が短縮されること,一度に多くの病原体の網羅的な探索が可能であることなどが明らかとなった。さらには,16S rRNAの配列情報があれば,新たに発生することが予想される細菌性疾病など,どのような細菌の検出にも対応可能である。今回開発したDNAチップは,すでに実際の診断現場で試用され,その有用性は実証済みである。
成果の活用面・留意点
  • 今回開発したDNAチップを用いた診断技術は,水産試験場など診断現場で応用可能である。
  • 魚介類疾病の診断が迅速・多様・高度化することにより,疾病の早期発見,早期治療が可能となり,魚病の蔓延防止が可能となる。
  • 消費者への安全・安心な養殖生産物の提供に資するとともに,魚介類養殖業の経営安定に貢献できる。
  • 現在のところ,検出可能な病原細菌の種類は23種類であるが,今後その数を増やしていく予定である。
図表1 229559-1.gif
カテゴリ 病害虫 経営管理 診断技術

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