タイトル |
噴火湾養殖ホタテガイの卵質評価に関する試み |
担当機関 |
北海道立栽培漁業総合センター |
研究期間 |
2000~2002 |
研究担当者 |
栽培漁業総合センター 貝類部 多田匡秀
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発行年度 |
2004 |
背景・ねらい |
噴火湾のホタテガイ養殖は地元で採苗できることが大きな利点である。しかし、ここ10年来、採苗不良年が多く、種苗の確保等で漁業者の負担が増している。採苗不良の要因として、産卵や幼生の分布に関わる水温、流れなどの海洋環境とともに、親貝の卵質が問われている。そこで室内でホタテガイの産卵誘発を行い、得られた卵について、その発生過程を観察することにより、卵質評価の手法について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 産卵誘発に対する応答率から、養殖ホタテガイの産卵可能な時期(産卵期)は4月上旬から5月下旬の範囲であり、生殖巣指数が最大値から約10%に減少する時期と一致していた。産卵期は年により半月程度の差がみられ、2002年で最も早く、2001年で遅かった。2003年は産卵期に幅があった。この理由として海水温の推移との関係が示唆された。
- 母貝1個あたりの産出卵数は2002年と2003年が約1,000万粒と多かったが、2001年は約500万粒と少なかった。
- D型幼生移行率は産卵期の前半で低く、後半に高まった。産卵期後半に産出された卵は発生過程の異常が少なく、その時期の卵質が良いことを示した。
- 未受精卵の平均卵径は産卵期後半に向かうにしたがい、少しずつ小さくなった。卵径とD型幼生移行率の間に負の関係が見られることから、卵径が卵質評価の一指標となる可能性があると推測された。
- 幼生移行率と各年の採苗の良し悪しとは必ずしも対応していなかったが、これは産卵後の海洋環境の影響によると思われる。
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成果の活用面・留意点 |
採苗不振の要因と考えられている親貝の餌料環境と成熟・産卵の関係について、今回確立した卵質評価法を用いて検証することが可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
評価法
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