タイトル |
コウナゴからの魚麹の開発と発酵食品への応用 |
担当機関 |
愛知県産業技術研究所食品工業技術センター |
研究期間 |
2002~2003 |
研究担当者 |
山本晃司
伊藤彰敏
加藤丈雄
深谷伊和男
鳥居貴佳
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発行年度 |
2004 |
背景・ねらい |
知多半島近海では、2月中旬から3月にコウナゴが水揚げされる。小さなものは釜揚げ・佃煮等に加工されているが、成長して大きくなると加工用途がなく、養殖の餌として流通している。このようなコウナゴの高付加価値化を目的とし、魚麹の作製技術並びにそれを利用した魚醤、魚味噌の開発を行う。
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成果の内容・特徴 |
- 魚麹の調製はコウナゴを解凍後、1時間蒸煮し、冷却後、種麹(香煎6%)を添加し、30℃で48時間製麹することとした。また、過発熱防止のため途中手入れを2回行った。
- コウナゴは炭素源が少なく、単独で製麹すると酵素活性が低くなる。種麹の増量に用いる香煎の添加量を検討し、味噌用麹菌(Aspergillus oryzae)、醤油用麹菌(A. sojae)のどちらでも香煎6%の添加で、プロテアーゼ活性が高くなった(図1)。また、他の炭素源(赤糠、ブドウ糖、割砕小麦)について検討したが、香煎を添加したものが最も高いプロテアーゼ活性を示した(図2)。
- 魚麹用麹菌について味噌用麹菌、醤油用麹菌、焼酎用麹菌(A. saitoi、A. kawachii、A. awamori)、鰹節用麹菌(Eurotium repens)で比較した。味噌用麹菌を用いた魚麹はプロテアーゼ活性、α-アミラーゼ活性ともに高く、醤油用麹菌を用いた魚麹はプロテアーゼ活性が特に高かった。焼酎用麹菌では、高い酵素活性は得られなかった。鰹節用麹菌は殆ど生育しなかった。(表1)。
- 魚麹に対して2倍量の18%(w/w)食塩水を加えて30℃で6か月間熟成し、魚醤を試作した。試作した魚醤は、全窒素2%を超える旨み成分の多い魚醤ができた(表2)。
- 魚麹に食塩と水を目標水分45%、食塩濃度13%となるように加えて、30℃で6か月間熟成し、魚味噌を試作した。魚味噌は、豆味噌と比べて炭水化物が少なく、窒素分やカルシウム含量が多かった(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 魚麹は、魚醤、魚味噌以外にもそのまま乾燥・粉砕してダシとして利用することも可能である。
- 魚麹は、製麹前の蒸煮小女子の水分が高いため、腐敗微生物による麹の汚染の危険性がある。 その対策として、魚麹の製麹工程に乳酸菌によるバイオプリザベーションを導入に現在取り組んでいる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
加工
乾燥
高付加価値
小麦
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