タイトル |
未利用海藻を活用した機能性飲料の開発 |
担当機関 |
北海道立食品加工研究センター |
研究期間 |
2001~2001 |
研究担当者 |
錦織孝史
太田智樹
田中彰
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発行年度 |
2004 |
背景・ねらい |
北海道内には未利用海藻資源が豊富に分布しているが、食品への具体的な利用開発例は少ない。海藻は食物繊維やミネラルなどをはじめ、健康に役立つ成分が豊富に含まれるため、健康機能の高い食品への原料としてその利用が期待される。本研究では未利用海藻中に含まれる疾病予防に役立つ機能性成分について、疾病発症に関与する酵素の阻害作用や細胞応答の解析によって評価するとともに、機能性飲料の開発へ向けた配合適性や呈味性の検討を行なった。
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成果の内容・特徴 |
北海道沿岸に分布する未利用海藻であるアイヌワカメとスジメから各溶媒を用いて抽出画分を得て、各種機能性解析に用いた。
- 糖尿病予防効果:α-グルコシダーゼ阻害活性試験において、アイヌワカメおよびスジメの70%メタノール抽出物にわずかに阻害活性が認められたが、生理的な有効性は期待できなかった。
- 胃炎・胃潰瘍予防効果:ウレアーゼ阻害活性試験において、アイヌワカメの70%メタノール抽出物およびスジメの90%アセトン抽出物の水画分に阻害活性が認められたが、阻害濃度が高く、生理的な有効性は期待できなかった。
- 免疫活性化作用:マクロファージによる貪食試験において、スジメから得られた多糖成分に活性化させる効果が認められ、蒸留水抽出(中性抽出)で得られた多糖成分が最も強い貪食作用を示した。また、免疫細胞から産生されるTNF-αの分泌作用を測定した試験では、スジメの多糖成分に活性化作用があり、特に、アルカリ抽出物に強い活性が認められた(図1)。
- 抗腫瘍性試験:腫瘍細胞移植マウスを使った多糖抽出物の経口投与による動物実験において、スジメの多糖抽出物にガン組織の増殖を抑える作用が認められ(図2)、血中のTNF-α濃度の上昇が確認された(図3)。
- 機能性飲料の試作:スジメから多糖成分を抽出して飲料を試作した結果、匂いや味覚等においても良好であった(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 未利用とされていた海藻に健康機能があることが示され、食品としての利用や加工原料、健康食材としての利用など新たな需要が期待できる。
- 多糖抽出物の飲料への利用が可能であることが明らかとなり、今後、商品化へ向けた取り組みが必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
加工
機能性
機能性成分
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