自発摂餌システム導入による養殖生産管理技術の高度化

タイトル 自発摂餌システム導入による養殖生産管理技術の高度化
担当機関 長野県水産試験場
研究期間 2003~2004
研究担当者 羽毛田則生
山本 聡
長野県水産試験場増殖部
内田博道
同諏訪支場
発行年度 2004
背景・ねらい 本県では1975年にコレゴヌスを当時のチェコスロバキアから導入し、種苗生産・飼育方法等研究を行ってきた。1983年には「シナノユキマス」の名称で民間養殖場に普及し、地域の特産魚として、年間約40t生産されている。
自発摂餌システムは、近年、養殖魚の摂餌要求に合わせた給餌管理、また省力・省資源化等のため開発された給餌方法で、これをコレゴヌスに適用し、実用化を検討した。
成果の内容・特徴
  • ニジマス用のスイッチでは成功率(給餌機が稼働した回数/魚が擬餌をくわえた回数)が20%程度と低かったので改良を行い、成功率約70%となるスイッチを開発した(図1)。
  • スイッチ作動回数の日変化と行動観察の結果から、飼育開始から10日程度で条件付け(擬餌をくわえると餌が落下して捕食する)が成立すると考えられた(図2)。
  • 個体標識して摂餌行動を観察したところ、ニジマス同様にコレゴヌスでも一部の個体がスイッチを起動させていた。また体の大きな個体がスイッチャー(スイッチ作動回数が最も多い)となるわけでなく、スイッチャーの成長は必ずしも他個体より良いわけではなかった。さらに、飼育群の中で体サイズによる順位も抜き出て上位でもなかった。
  • スイッチャーには定位・攻撃といった他を排除する行動は観察されず、他の個体も餌の捕食は比較的容易であった。このことより社会的行動に関しては、ニジマスよりも自発摂餌システムに適していることが示唆された。
  • 適正報酬量を知るために、1回のスイッチ作動による報酬量(魚体重当たりの餌量)を変えて飼育試験を行った。日間成長率と飼料効率の結果から適正報酬量は、0.05g/kg魚体重以下と考えられた(図3)。
  • 体重40gサイズのコレゴヌスを用いて、自発摂餌システムと従来方式の自動給餌で比較試験を行った。日間成長率と飼料効率の間に統計的に有意な差はなかったことから自発摂餌システムの実用性が示唆された(表)。
成果の活用面・留意点 本成果をコレゴヌス養殖現場に普及することで、給餌作業の省力化、適正な給餌量による効率的生産、残餌の減少による環境負荷の軽減を図ることが期待される。
図表1 229619-1.png
図表2 229619-2.png
図表3 229619-3.png
図表4 229619-4.png
カテゴリ 管理技術 省力化 飼料効率

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