淡水ワムシの安定大量培養

タイトル 淡水ワムシの安定大量培養
担当機関 滋賀県水産試験場
研究期間 2004~2007
研究担当者 太田滋規
発行年度 2004
背景・ねらい 淡水産ワムシの1種ツボワムシは、本県の栽培対象種の初期生物餌料として欠かせない。しかし、これまで大きな池に施肥し、自然に発生させるという粗放的な方法で生産され、天候に左右され、経験と勘が頼りの不安定なものであった。そこで、海産魚の種苗生産に用いられるシオミズツボワムシの連続培養法を応用してツボワムシの生産を試みた。
成果の内容・特徴 供試ツボワムシは当場の餌料培養池の泥中の耐久卵から単離し、琵琶湖水から単離したクラミドモナスを与えて500ML瓶で継代培養した。それを10Lスチロール水槽、100Lアルテミアふ化槽と拡大培養した。培養水槽は、1000Lパンライト水槽2槽を連結し培養槽と収穫槽とからなる。培養槽にはユニホースによる通気およびヒータとサーモスタットによる温度管理を行った。注水は培養槽に地下水をバルブで水量調節して連続して行い、そのオーバーフロー分を収穫槽に貯まるようにした。給餌は初期は濃縮淡水クロレラのみ、後期はパン酵母を併用し、微量定量ポンプで24時間連続給餌した。(図1)
培養結果は図2のとおりで培養開始から10日目まではクロレラ1l/日給餌によりワムシ密度を100個体/MLで安定させた。15日目から25日目まではクロレラ2l/日給餌によりワムシ密度を500個体/MLで安定させた。当初、この培養方法で300~500個体/MLの安定培養を考えていたが、さらに高密度が可能と思われたので、それ以降はクロレラの給餌量を5L/日に増やしワムシ密度を1500個体/MLまで高めた。その後はパン酵母を併用し、収穫率やクロレラとパン酵母の割合を変えて試験を行った。その結果、収穫量は最大11億個体となったが、溶存酸素の低下と夏期の水温の上昇のため、培養は不調となり終了した。
成果の活用面・留意点
  • 後に行った培養では通気方法の改良と培養槽の簡易冷却により溶存酸素の低下や水温の上昇を抑え、10億個体/日の生産が可能となった。
  • 本県の栽培対象種であるニゴロブナ、ホンモロコ、ワタカを培養ツボワムシのみで1ヶ月間飼育した結果、生残率の低下や異常魚の出現はみられず、培養ツボワムシが餌料として有効であると判断された。
  • これまで困難と考えられていたツボワムシの培養が周年、安定して可能となったことで、有用淡水魚の種苗生産を計画的、効率的に行うことが可能となった。
図表1 229625-1.png
図表2 229625-2.png
図表3 229625-3.png
図表4 229625-4.png
カテゴリ 温度管理 施肥 なす

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