タイトル | カタクチイワシ産卵特性の沿岸-沖合間の差異 |
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担当機関 | 独立行政法人水産総合研究センター中央水産研究所 |
研究期間 | 2001~2005 |
研究担当者 |
久保田洋 高須賀明典 阪地英男 清水弘文 大関芳沖 梨田一也 |
発行年度 | 2004 |
背景・ねらい | 小型浮魚類は資源増大に伴い、沖合域へと分布域を拡大する。産卵生態特性に沿岸-沖合差が存在するならば、これは生態学的に興味深い現象であると同時に、資源評価・漁業管理において考慮すべき問題でもある。本研究では、カタクチイワシについて、近年の文献から卵数法の必須パラメータであるバッチ産卵数と産卵頻度等のデータを収集し、沿岸-沖合間比較を行った。 |
成果の内容・特徴 | カタクチイワシのバッチ産卵数及び産卵頻度の水温に対する反応には、沿岸群-沖合群間(図1)で明瞭な差が認められた。 同体長で比較すると、沖合群の方が沿岸群よりも肥満傾向にあり、生殖腺重量指数(GSI)もはるかに高いという特性があった。 沿岸群及び沖合群共に、単位体重当たりバッチ産卵数(RBF)はGSI及び表面水温と正の関係にあった。これらの関係にも明瞭な沿岸群-沖合群間の差が認められた(図2、3)。高水温下では、RBFは沖合群より沿岸群の方が高いと推察されたが、沿岸群のRBFは水温低下に伴って急激に減少した。一方、沖合群のRBFの水温低下に伴う減少は緩やかであり、低水温下では、沖合群の方が高いRBF値を示した(図3)。 産卵頻度のレベル自体に両群間の差は無かったが、水温に対する反応が異なっていた。沖合群は沿岸群よりも約5℃低い水温で同程度の頻度で産卵すると考えられる(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 本研究結果から沿岸群と沖合群に対して個別の式を適用してバッチ産卵数及び産卵頻度を求めることによって、沖合資源評価の精度向上が期待される。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
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