タイトル |
生化学的指標を用いた二枚貝の生理状態の評価 |
担当機関 |
独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所 |
研究期間 |
2000~2005 |
研究担当者 |
前野幸男
渡邉康憲(瀬戸内水研)
圦本達也
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発行年度 |
2004 |
背景・ねらい |
これまで、タイラギやサルボウにおいては生理状態を評価する指標についての調査研究が行われておらず、成長や成熟等の生理活動をモニタリングする際の障害となっていた。そこで、両種の体内のグリコーゲン量および中腸腺フェオ色素量が生理状態を示す指標として有効か否かの検討を行った。
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成果の内容・特徴 |
- タイラギおよびサルボウそれぞれについて、給餌試験と無給餌試験を並行して行い、タイラギの閉殻筋およびサルボウの斧足におけるグリコーゲン量および両種の中腸腺フェオ色素量を経時的に測定した。
- 無給餌試験では、タイラギはグリコーゲン量およびフェオ色素量のいずれも顕著な減少が見られた(図1)。一方、サルボウはフェオ色素量の減少が見られたが、グリコーゲン量には明瞭な減少が見られなかった(図2)。
- 有明海の漁場におけるタイラギのグリコーゲン量の季節的な変動を調査したところ、
- タイラギにおけるグリコーゲン量は雄雌ともに生殖腺の発達が不十分な2月から増加し、4月に最高値を示すこと(図3)、
- その後、放卵・放精期に入ったと思われる5月以降に著しく減少することが明らかとなり(図4)、タイラギのグリコーゲン量は、生殖腺の発達と密接な関係を有し、性成熟の有用な生理指標となること
が示された。
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成果の活用面・留意点 |
- 今回、タイラギとサルボウを用いてグリコーゲン量およびフェオ色素量が生化学的生理指標として有効であることを明らかにしたが、これらは、カキやアコヤガイなどでも指標としての有効性が明らかにされており、二枚貝の生理状態を評価する指標としての活用が期待できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
モニタリング
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