タイトル | サンマの年齢構成の解明 |
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担当機関 | 独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所八戸支所 |
研究期間 | 2001~2005 |
研究担当者 |
巣山 哲 中神正康 |
発行年度 | 2005 |
背景・ねらい | サンマは重要な漁業対象種であるにもかかわらず、資源解析の基礎となる年齢構成が明確ではなかった。このため、耳石透明帯を観察して、資源の年齢構成と各年級群のサイズの年変動を明らかにした。また、漁獲物の主体となる1歳魚について、1年前の体長を逆算するために必要な知見(透明帯の正確な形成時期や耳石径の季節変化)を集め、当歳時の体長組成を推定した。現在、サンマの資源評価は6月から7月に行われている漁期前調査に基づいて実施されているが、当歳魚の資源量がどれくらい正確に把握出来ているかが課題になっている。そのため、今回の研究結果によって推定された0歳魚の体長組成と漁期前調査において採集された当歳魚の体長組成を比較し、調査の問題点を検討することを目的としている。 |
成果の内容・特徴 | 耳石透明帯の有無の観察結果から、漁期中のサンマは基本的に0歳魚と1歳魚で構成されていることが明らかになり(図1)、1989~2000年の期間では、0歳魚と1歳魚の境界(両群がともに半数を占める体長)は277.8~304.7mmの範囲で変動した。この結果は体長組成の解析結果(図2)ともよく一致し、体長頻度分布の解析から得られる推定値でも耳石年齢査定結果に近い値が得られることがわかった。1歳魚に見られた耳石の透明帯を電子顕微鏡で詳しく観察したところ、8月には0歳魚の半数で透明帯の形成が開始されていることが確認された(図3,4)。一方、0歳魚の耳石長-体長関係は季節によって変化し、6月では耳石は体長に対し最も小さかったが、季節が進むにつれて耳石の相対的な大きさは増大していた(図5)。これらの要素を考慮して、耳石透明帯半径から1歳魚の前年8月における体長を逆算したところ、体長モードは20cm程度であったと推定された(図6)。今後、6月から8月までの成長を明らかにできれば、1歳魚の前年6~7月における体長組成が推定できる。この結果を、漁期前調査において採集された0歳魚の体長組成と比較することによって、調査漁具として使用している中層トロールの漁獲効率の違いを体長別に推定できる。 |
成果の活用面・留意点 | 資源評価において、1歳魚の体長範囲と資源量を正確に把握できるようになったため、資源評価の精度が上がった。また、体長組成から各年級群のサイズを推定出来ることが示されたので、FRESCO1等に蓄積されたデータから、過去に遡って1歳魚の体長組成の年変化を明らかすることができると期待される。また、1歳魚の資源量を正確に予測するためには0歳魚の正確な資源量を推定することが重要であることが示されたが、使用漁具による体長別の漁獲効率を明確にすることが必要となる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
図表6 | ![]() |