等密度追従型フロートによる北太平洋中層水の形成過程の解明

タイトル 等密度追従型フロートによる北太平洋中層水の形成過程の解明
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所
研究期間 2000~2004
研究担当者 清水勇吾
発行年度 2005
背景・ねらい 親潮水と黒潮水が混合域で混合して、亜熱帯循環中層の塩分極小層で特徴付けられる北太平洋中層水(NPIW)が形成される。この形成過程を通じて亜寒帯域から亜熱帯域中層へ大量の水と物質が輸送されるため、NPIWの形成に関する質的・量的な知見を得ることは、地球温暖化や気候変動と環境変動を考える上で非常に重要である。本研究では、NPIWの形成過程と形成時間を調べるために、近年新しく開発された等密度追従型のプロファイリングフロートを用いた。
成果の内容・特徴 2001年冬~春にNPIWの塩分極小層コアである26.7σθを追従密度とする等密度追従型フロート2台を親潮域に、4台を黒潮続流に沿って投入した。これらを追跡した結果、親潮域に投入した2台は南下して黒潮続流に達し、その後は黒潮続流域に投入した4台と同様に日本のはるか東方に流されていくことが明らかになった。さらに150°E 以東では、南から黒潮続流、黒潮二次前線、亜寒帯前線に該当する3つの前線に分かれて流されていた(図1)。各フロートのプロファイリング結果からT-Sダイアグラムを描くと、26.7σθ付近に塩分極小層を持つ新しいNPIWのプロファイルに近づいていくことがわかった。また、26.7σθでの親潮・黒潮等密度面混合比の値は各経路でそれぞれ親潮:黒潮=3:7、4:6、5:5に収束し、渦位は全経路でほぼ同じ値(およそ15×10-11 m-1 s-1)に収束することも判明した(図2)。親潮水・黒潮水合流後の親潮・黒潮等密度面混合比と渦位の収束時間から、新しいNPIWの形成時間は約1~1.5年と見積もられた。
これらの結果から、親潮の南下流量の年変動などに対して、新しいNPIWの形成量または特性は約1年~1.5年後に敏感に応答する一方で、NPIWの更新時間は20年であるため、NPIWの総体積、平均塩分などは親潮変動に対して数十年の時間スケールで応答すると推測された。
成果の活用面・留意点 温暖化、気候変動に対する環境変動予測
図表1 229712-1.gif
図表2 229712-2.gif
カテゴリ 亜熱帯 輸送

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