素堀池を用いた模擬放流試験におけるトラフグ人工種苗と天然種苗の食害

タイトル 素堀池を用いた模擬放流試験におけるトラフグ人工種苗と天然種苗の食害
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター百島栽培漁業センター
研究期間 2003~2005
研究担当者 崎山一孝 水産総合研究センター百島栽培漁業センター
清水大輔
発行年度 2005
背景・ねらい 放流されたトラフグ人工種苗の天然海域での生態や初期減耗の実態はほとんど解明されていない。そこで,放流初期の減耗要因を把握するため,廃止塩田の素堀池を整備した実験池(5,300平方メートル)を用いて模擬放流試験を行なった。
その結果,トラフグ人工種苗は餌生物が十分量存在し,捕食生物が生息しない環境では,大きさや形態異常の有無に関係なく高率に生残する事が明らかとなった。一方,捕食魚(スズキ)の存在下での放流試験では,生残率は著しく低下し,放流直後の食害が初期減耗の主な要因であることが明らかとなった。
そこで,トラフグ人工種苗の放流魚としての適性を評価するための知見を得るため,人工種苗と天然種苗を捕食魚(スズキ)の存在する実験池に放流し,放流初期の成長,生残状況を比較した。
成果の内容・特徴 トラフグ人工種苗と天然種苗を別々に,捕食魚の存在しない実験池(対照試験)および捕食魚の存在する実験池(食害試験)に放流したところ,対照試験では,放流8日後の生残率は,人工種苗73%,天然種苗66%で差はなかった。食害試験では,天然種苗72%に対して人工種苗15%と大きく減少した。成長率は両試験で天然種苗のほうが有意に高かった(表1)。
また,人工種苗と天然種苗を捕食魚の存在する実験池に同時に放流したところ,放流後5日間の生残率は,人工種苗56%,天然種苗86%で有意差が認められた。成長率も天然種苗のほうが有意に高かった(表2)。
これらの結果から,天然種苗はほとんど食害を受けないが,人工種苗は捕食されやすく,天然海域でも放流直後に大きな捕食圧を受けている可能性が窺われた。
成果の活用面・留意点 捕食魚の存在下でのトラフグ人工種苗と天然種苗の生態の違いを明らかにすることで,人工種苗の放流魚としての種苗性を評価するための知見が得られる。
図表1 229727-1.gif
図表2 229727-2.gif
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