タイトル |
バクテリオファージを利用したヒラメの細菌感染症防除の試み |
担当機関 |
愛媛県中予水産試験場 |
研究期間 |
2002~2006 |
研究担当者 |
松岡 学
|
発行年度 |
2005 |
背景・ねらい |
エドワジエラ症及びレンサ球菌症は、ヒラメ養殖における最重要疾病である。しかし、これらの治療のために認可されている水産用医薬品は、レンサ球菌症を対象とする2成分しかなく、薬剤耐性化により効果がみられない事例も多くなっている。また、食の安全を確保する面からも医薬品を使用しない養殖技術が求められている。そこで、本研究では、ファージを用いた細菌感染症の防除技術の開発を行った。
|
成果の内容・特徴 |
- ヒラメ養殖場環境中から、複数の E. tarda 及び S. iniaeファージを分離し、そのなかから感染性の強い(ほとんどの菌株に感染する)ファージ株を選別、大量培養した。
- これらのファージを、あらかじめ E. tarda または S. iniae に人為的に感染させたヒラメの腹腔内に注射して20日または15日間経過を観察した。その結果、E. tardaファージを注射したものの生残率は51%で、ファージを注射しない対照区の28%よりも有意に高かった。また、S. iniaeファージを注射したものの生残率は28~80%で、ファージを注射しない対照区の0~5%よりも有意に高かった。
|
成果の活用面・留意点 |
- 本技術は、魚類養殖の過程で発生する細菌性疾病に対して、医薬品を使用しない治療対策として寄与できると考えられる。
- ファージが生物製剤であることから、これを使った治療法を普及させるためには、環境への影響や安全性の確認など制度的・社会的に認知されるための、基礎的・実用的な試験研究を積み重ねる必要があるほか、製造承認にも時間を要すると考えられる。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
カテゴリ |
病害虫
治療法
防除
薬剤耐性
|